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章 9: 第9章

兄の若君様、桜井天晴が私の額を軽く叩いた。

「お前ね、後で仕返しだからな。」

兄は叔母と叔父に長い間謝り続けた。

翌日、私を都に連れ戻すと言い出した。

「行かないわ、これは私がやったことだもの。」

「今、外で広まっている噂は、きっとあの人渣のしわざよ。」

「こんな時に従姉を置いて逃げ出すなんて、私、人間じゃないわ。」

「最後まで面倒を見るつもりよ。」

私が頑として動かないので、兄も仕方なく私と一緒に留まることにした。

「一体何がしたいんだ?」

「従姉を地獄から救い出したからには。」

「当然、従姉のために本当の良い婿を見つけてあげないと。」

藤原悠佑は顎に手を当てて、じっくりと考えた。

「南洲の名家の良い若者なんて、私たちは詳しくないだろう。」

「そうね、従姉に都に行く気があるか聞いてみるわ。」

そして私たち四人は一緒に都へ戻った。

「従姉、安心して。都のことなら私が詳しいから。」

「きっと良い婿を見つけてあげるわ。」

婚約が破談になった後、従姉はかえって肩の荷が下りたような様子だった。

ただ笑いながら私とじゃれ合うだけ。

「この都で一番の若者はお前の目の前にいるじゃないか。」

「他を探す必要なんてないよ。」

藤原悠佑は笑いながら煽った。

「自惚れないでよ。あなたなんて、私の従姉に相応しくないわ。」

藤原悠佑は腰の扇子を取り出して、私の頭を叩いた。

「お前、バカなの!」

「この馬車の中には私以外にも、もう一人の男がいるだろう?」

私と従姉の視線は藤原悠佑の顔から兄の顔へと移った。

そうだわ、兄こそが都一番の若者じゃない。

兄は顔を少し赤らめた。

「ふざけるな。」

従姉も頬を染めて俯いた。

私は左右を見比べた。どうやらこの二人には気があるようね。

でなければ、どうして二人とも黙り込んでしまったのかしら。


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