概要
スー・アンアンは、R18指定の獣人異世界小説に登場する悪役女キャラに転生してしまった。
原作では、彼女は五人の獣人夫を虐げる極悪非道な「悪雌(あくめす)」。
人魚の元帥は耳を裂かれ、白虎の戦神は傷だらけ、墨蛟(すみみずち)の執行官は鱗が剥がれ、紅狐の大物は九本の尻尾を全て断たれ、白鳥のトップアイドルは声を潰され──
彼女自身は「皇女」の地位を剥奪され、最期はブラックスターで無惨に死んだ。
スー・アンアンが転生した時点で、すでに死亡カウントダウン182日。
まさに絶望のスタート。
そこで彼女が手に取ったのは、祖母から受け継いだ伝説の薬箱だった。
人魚の耳に薬を貼ろうとして、誤って包帯を蝶結びにしてしまい──その夜、人魚は耳元のピンクのリボンを隠すため、声波で寝殿の半分を吹き飛ばす。
白虎の傷に薬を塗っている時、うっかり柔らかいお腹の毛をくすぐってしまい──昼は牙を剥いて唸る彼が、夜には彼女をふわふわの腹毛の中へ引き寄せる。
墨蛟の鱗を補修していると、手が震えて逆鱗に触れてしまい──陰鬱な審判官が尾で彼女の腰を巻き取り、「次、また触ったら終身刑だ」と囁く。
白鳥アイドルに喉薬を持っていったら、「また俺の声を潰す気か?」と冷笑されるも、彼女は枇杷シロップを無理やり飲ませ──その清らかな歌声が、銀河全域に響き渡る。
そして、変異獣の毒霧が獣人星を飲み込もうとしたあの日──
かつて「役立たずの悪女」と蔑まれた彼女が、注射器を手に救世主として降臨。
その背後には、彼女を奪い合う超大型もふもふ獣人たちが五匹。
「うるさい!順番に並んでワクチン打ちなさい!」
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