概要
結婚一週間前、長谷川恭弥の豪雨症を患っている亡くなった妻の妹が私の車を湾岸大橋の欄干で停めさせた。
時速120キロメートルでの衝突が18回も起きた。
長谷川恭弥が救急車と一緒に急行してきたとき、私は一山の鉄屑から引きずり出されていた。
なのに彼はバンパーが外れただけの改造ハマーのドアを開け、
震えている篠原遥を抱きしめた。
「長谷川部長、奥さんの状態がおかしいです。すぐ病院に運ばないと。」
長谷川恭弥は私の担架を遮り、さっと見回して「彼女は血も一滴も出ていない、表面的な傷だけだ。遥は豪雨症だから、雨が強くなると症状も悪化する。先に彼女を病院へ連れて行く。」
見捨てられた時、私は身体を丸め、必死で長谷川恭弥を掴んだ。
彼は眉をひそめ私の手を握り「遥は故意にぶつかったわけじゃない、ただ発作が出ただけだ。君も医者なんだから、患者への思いやりを持つべきだ。」
そう言うと、ポケットから示談書を取り出し、力のない私の手を持って、サインさせた。
「次の救急車はすぐ来るから、もう少し頑張って。」
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