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2.36% 満レベル大物が捨て駒からヒロインに転生 / Chapter 9: これは宮沢家の面目を潰す気か?

章 9: これは宮沢家の面目を潰す気か?

編集者: Pactera-novel

遠藤智也は宮沢三兄弟が横で憤慨して頷き、嫉妬に満ちた様子を見て、詩織の言っていることが本当だと分かった。

この一幕は、長谷川美暁の目に入ってしまった。

美暁は詩織と同い年だが、彼女の姉である長谷川沙耶は幼い頃から、将来遠藤智也との結婚相手として育てられて来た。

沙耶は智也と同い年で、共に稷下學府で学んでいた。

今は智也と沙耶がまだ成人になってないため、家族中ではこの件を明らかにしてない。

しかし、すでに二人の幼馴染としての絆をおもに育てる。

そして、遠藤一族側も黙認している。

長谷川・遠藤両家だけでなく、外にも皆が言わず承知している認識であって、智也と沙耶の事はもう確実だと思っている。

沙耶の周りの人々は、沙耶をすでに智也の婚約者と見なしている。まだ正式に発表されていなくても、皆はそう思っている。

しかし美暁は沙耶の実の妹であるにも関わらず、智也から特別扱いされたことは一度もない。

彼女は今まで、智也が女の子に対してこんなに素敵な様子を見せるなんて見たこともない、相手がまだ小さい女の子であっても。

沙耶に対してさえ、智也はこれほど良い態度を見せたことはない。

智也は美暁を抱っこして話すどころか、おもちゃも贈ったことがない!

美暁は嫉妬の眼差しで詩織を見つめた。

あの小さい女の子、なぜ智也は大切にしてあげるんだろう?

美暁はすぐに走り寄った。「智也お兄さん!」

その時、智也は詩織を抱いていた。もともと、微笑む目線だったが、顔を下げる時には、冷たくて人見知らずの目線に変わって、美暁を知らないようだ。

美暁は思わず身をすくめたが、すぐに手を上げて智也の腕を引っ張ろうとした。

しかし彼女は背が低く、手を伸ばしても届かなかったので、智也のスーツの裾を引っ張るしかできない。「智也お兄さん、久しぶりだよ、私に会いに来てくれなくて」。

そう言ってから、美暁は嫌げに詩織を一瞥した。

詩織はこの仕打ちを受け入れるはずがない!

どこの小娘が、面識もないのに彼女に対して敵意を発散するんだろう?

彼女は決して人に喧嘩を売ることはないが、誰かが彼女に嫌味で接するなら、覚悟しておけ!

詩織は元々智也の首に回していた小さな両手を突然離し、智也の両耳を掴んで、無理やり智也の顔を自分の方に向け直した。

「小叔父さま、ほかの団子ちゃんがいたんですね!」詩織は訴える。

智也は「……」

なんなんだ!

その言い方は、まるで彼が不倫でもしているみたいだ……

詩織の白く水蜜桃のような小さな顔が怒りで赤くなり、小さなリンゴのようになった。

しかし彼女はあまりにも可愛く、怒っていても甘くて愛らしい怒り方で、非常に愛くるしく、無礼で乱暴な美暁とは比べものにならない。

美暁がいくらじゃれて可愛く振る舞っても無駄で、むしろ智也には鳥肌が立つくらいだった。

折しも誠も騒ぎに加わり、首を伸ばして詩織に本音を誓った。「詩織、見ただろう!よその男は信用できないが、お兄ちゃんたちは頼りになる。外には他の団子ちゃんなんていないよ」

智也は思わず口が走った。「僕もいないよ!」

言った後、彼はすぐに無言になった。

さっきは何も考えず、ただ詩織が非難するような目線で見てきたので、思わず言ってしまったのだ。

言ってから違うなと気づいた。

「じゃあ、小叔父さまは、このお姉さんを知らないの?」詩織は尋ねた。

美暁は怒って言った。「誰がお姉さんよ!勝手に親戚ふりをしないで、あなたにその資格はないわ!」

彰は顔を冷たくして言った。「僕たちにはあなたのように傲る親戚はいないよ」

智也も表情を冷たくし、低い声で言った。「知っているといえば知っている。ただ友人の子供というだけで、親しくはない」

美暁は悔しさと悲しさで一杯だった。智也は彼女の姉と、両家が承知している将来の婚約関係であるのに。

将来、智也は彼女の義兄になるはずだ。

どうして親しくないと言えるのか?

智也はほかの客人をもてなす為、美暁という小さな女の子と絡みたくなかった。

詩織を、すでに拳を握りしめて人さらいをする準備をしている彰に渡し、その場を離れた。

「智也お兄さん!」美暁はまだ追いかけようとした。

しかし智也の足取りは大きく、美暁は途中で追いつけなくなった。

怒った美暁は立ち止まり、床を踏みつけた。

浩輔と美月は自分たちの名前が書かれたテーブルを見つけ、子供たちを呼び集めた。

詩織はちょうど座ろうとする時、佳穂が近づいてくるのが見えた。

彼女は先ほど秀章を探しに行ったが、奈緒は彼女を嫌っていた。明らかに言ってはないが、冷たい態度がすべてを物語っていた。

「叔母さん、従姉さんと遊びに行ってもいい?」佳穂は顔を上げて美月に尋ねた。

今、美月は詩織と佳穂を二人きりにするのが心配だが、はっきり断ることもできず、詩織に尋ねた:「詩織、行きたい?」

美月が知っている詩織は、確かに三人の兄と一緒にいたがるはずだ。

しかし意外に詩織は元気よく賛成した。「いいわよ」

佳穂が詩織を探しに来たのは、きっと何か悪だくみがあるはずだ。

もし詩織がついていかなければ、佳穂を苦しめるチャンスは見つからないないだろう?

こんな良いチャンスを、見逃すわけにはいかない。

美月は一瞬戸惑ったが、詩織が行きたがるので、仕方なく同意した。

「従姉さん、早く来て」佳穂は詩織に手を差し伸べた。

詩織は佳穂が差し出した手を無視し、自分の手を差し出すこともなく、にこにこ笑って言った。「行きましょう」

「秀章兄を探しに行きましょう」佳穂は無邪気な顔で言った。

「いいわよ」

ところが二人が歩き始めたばかりで、誰かに止められる。

「あなたたち二人、見知らぬ顔だね。どの家族の子?」美暁が乱暴で威張った口調で問い詰める。

美暁はずっと詩織を目障りに思っている。

どうして智也は詩織だけにそんなに優しいのか?

本当は彼女こそ智也にとって一番近い存在なのに!

「あなたは誰?」美暁は詩織に詰問した。

詩織がまだ口を開かないうちに、佳穂が先に胸を張り、非常に誇らしげに言った。「これは私の従姉さん、宮沢詩織。宮沢家を知ってるでしょ?結構偉いよ」。

詩織は口元を引きつらせる。

宮沢家は普通のビジネス家で、B市でさえあんまり知られてなく、ましてや遠藤家や長谷川家と比べられるものではない。

佳穂はこれで宮沢家の面目を潰れる気か?

詩織はすぐに言った。「お姉さん、気にしないで。私のこの従妹はまだ年が若くて、経験が少ないから、笑われるような発言をするの。彼女の話は、うちの家では認められないわ」

佳穂の顔色は青くなったり白くなったりした。詩織は他人の前で彼女をこんな風に皮肉るなんて!

彼女のどこが経験不足だというのか!

彼女はもちろん宮沢家がここではまったく重要ではなく、単に目立たない小さな家族に過ぎないことを知っていた。

でも彼女はわざとそう言って、詩織に敵意を向けさせようとしたんじゃないの?

どうして詩織のところでは、彼女が経験不足になってしまったの?

詩織、このバカ!


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