学校から追い出されてから一ヶ月経った。この一ヶ月の間に、多くのことが起きた。
私が愛人として他人の家庭を壊したという噂が広まり、誰もが私を恥知らずだと罵った。
お母さんは篠原健司の店を辞めた。
彼女は「もう顔向けできない」と言った。
「店の人たちは皆知っているわ。私の娘が彼の愛人になったなんて。もう店で働き続ける面目がないわ」
「あなたさえ、あなたさえこんな恥ずかしいことをしなければ、私がみんなに笑われることもなかったのに」
私は黙って寝室のベッドに座り、リビングからのお母さんの叱責の声を聞いていた。
お母さんが仕事を辞めてから、毎日家で家門不幸だと嘆き、恥知らずな愛人を娘に持ったと文句を言うようになった。妹も以前のように私にべったりと「お姉ちゃん」と呼ぶことはなくなった。
私が過去の記憶に浸っていると、ドアの外からお母さんの驚きの声が聞こえてきた。
「咲良、咲良、どうしたの」
「お母さんを怖がらせないで、咲良。これ、誰があなたをこんな目に」
お母さんの叫び声を聞いて、私は急いで部屋を飛び出し、床に崩れ落ちている妹を見た。
「咲良、どうしたの、誰がいじめたの」
「お姉ちゃんに言って、お姉ちゃんが相手を探し出すから」
私は動揺して妹を見つめた。彼女は泥水とインクで汚れ、髪はぐちゃぐちゃで、顔には赤い掌の跡がついていた。白い制服には赤いペンの文字が書かれていた。
妹の姿を見て、私の胸は痛みで締め付けられた。
「ほら、咲良、お姉ちゃんが起こしてあげるから。床に座ってちゃだめ、冷たいわよ」
私が妹を起こそうとすると、彼女は私の手を振り払った。
「あなたは私のお姉ちゃんじゃない!」
妹は顔を上げ、嫌悪と憎しみに満ちた目で私を見た。
「あなたは私のお姉ちゃんじゃない。そんなお姉ちゃんいない。自分が愛人になったくせに、どうして私まで愛人の妹にならなきゃいけないの」
「なぜ愛人なんかになったの?なぜ私をクラスメイトから孤立させられたの?」
「出ていって、私の家から出ていって、出てけ!」
妹は泣きながらインクで汚れた服を私に投げつけた。そこには「愛人の妹」と書かれていた。
お母さんは妹を抱きしめて一緒に泣き、私を無能だと罵った。
「詩織、あなたが愛人になって、家族全員を不幸にしたのよ」
「私たちを殺すつもり?それで満足なの!」
「出て行きなさい、この家から出て行って、二度と戻ってこないで!」
私はお母さんと妹の苦しむ表情を見て、心が崩壊しそうだった。
お母さんは私を見捨て、妹も私を認めなくなった。
私は布団の中で泣いている妹を見ていた。慰めようと思ったが、私の手は妹の体をすり抜けるだけだった。
もう妹を慰めることはできない。私はもう死んでいるのだから。
お母さんに出て行けと言われてから一週間後に死んだ。
あの日、篠原健司から突然数枚の写真が送られてきた。妹の写真だった。
あの人でなし、写真を削除していなかったのだ!
私が何年も彼の言いなりになり、言うことを聞いていたのに、約束を守って写真を削除することはなかった。
「今夜、聖泉ホテル11-102に来い。来れば写真を削除する」
私は分かっていた。この写真問題を解決しなければ、いずれ妹はこの人でなしに害されるだろう。
妹のためにこの問題を解決しなければならない。
「来たね、詩織」
篠原健司の顔の不快な笑みを見て、心から吐き気を感じた。
「最近、妻が学校に乗り込んだらしいな。気にするな。これからも俺について来れば、ちゃんと面倒を見てやるよ」
「無駄話はいい。妹の写真を全部消して」
私は健司と無駄話をしたくなかった。ただ妹の写真をすべて削除してほしかった。
「詩織、まだ焦りすぎだな。約束したことは守るさ」
「もう一晩俺に付き合えば、写真は必ず消すと約束する」
健司はカメラを手に振りながら、恥知らずに言った。