罪人、追放地と錆色の王権

「俺は聖騎士団長だったが、調子に乗って聖女を口説き、神罰を食らった。」
「私はサイバー女帝だったが、神様に嫉妬された絶世の知性ゆえに、追われる身となった。」
「私は仏修だったが、修真者を殺しすぎて、神の怒りに触れた。」
「俺は修真者だったが、仏門の大能を怒らせ、神の逆鱗に触れてしまった。」
「私は魔女だったが、うっかり神様に大きな嘘をついてしまったの。」
「「「「「で、黒木朔よ、お前はどうしてここへ飛ばされた？」」」」」
獄友たちの追及に、黒木朔はしぶしぶと答えた。
「神様によると、世界を滅ぼした大罪だってさ。まったく、ふざけた話だろ？」
……
追放地——多元世界のゴミたちが集う場所。
怪物が跋扈し、業が蔓延し、天災が猛威を振るい、王権は砕け散っていた。
神に見捨てられた罪人たちは、ここでむなしくもがく。路傍の野犬のように朽ちる者もいれば、王とならんと野心を燃やす者も、自ら聖人と称する者も、やがて怪物へと堕ちてゆく者もいる。
そして、錆の祝福を背負った黒木朔が戦う理由は、ただ一つ。神が投げかけた三つの問いを、行動で答えるためだった。
「お前は、なぜ世界を滅ぼした？」
「お前は、どうやって世界を滅ぼした？」
「その滅びの力は、どこから得た？」