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章 2: 第2話

(ここは・・・・)

先程、ブロンドの美しい女性の運転する大型トラックに轢かれ、宙を舞っていたはずが・・・

(不思議な感覚だ・・・フワフワしてる)

視界を動かそうにも、何処が水平なのか全く分からない上下左右・・見渡す限り全てが真っ白な世界

(死後の世界って奴か・・・)

何度も小説の中で転生物と呼ばれるシチュエーションを読んで来た俺は、直感でそう感じた

(て、ことは・・・・)

そう考えていると、目の前に光の粒子が集まって人の姿へと変化する

「本当にぃゴメンなさぁぁぁい!!」

光の粒子が美しいブロンドの女性の姿になると同時に、思いっきり頭を下げられる

「え?え?な、なんです?急に」

「それは・・・えぇぇぇと・・・」

顔を上げた美女の顔を見た俺は

「あぁぁぁぁぁぁ!!!」

「わぁぁぁゴメンなさぁぁぁい!!」

そう強烈に記憶に残る、その美しい顔・・・そう俺を跳ね飛ばしたトラックを運転していた外国人の美女だった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

「て、事なの・・・」

「て、事なんですか・・・・って!説明を端折るなよ!」

「え?いや~お約束なら、こういうので伝わるんだけど・・・てへ☆」

「てへ☆・・・で済むか!」

ちゃんと話を聞くと、彼女はこの世界とは別の世界の女神でヘルスティアというらしい

新米の女神で、誕生してまだ5000年程?しか経って無いらしく、女神界隈では下っ端として雑用にこき使われているとハンカチで零れても無い涙を拭きながら話してくれた

全く同情出来ないが・・・

「ここで死ぬ予定では無かった貴方を、女神である私が遅刻しそうになって慌ててて事故を起こして死なせてしまったなんて、主任女神や主神様に知られたら・・・」

これはどうやら本当に凹んでるらしく、見るからに美しい表情が曇る

「で、でも貴方は女神なんだから、僕を不自然無く生き返らせてくれれば丸く収まるんでは無いですか?」

「ほら、死ぬかも知れない致命傷から奇跡的に病室で生き返る・・・とか?良くある話じゃないですか」

女神は顎に手をあて、首を傾げて悩んでいる

「それは・・・出来ない訳では無いですが、貴方の世界は、私の大先輩の作った世界で・・・大先輩にお願いするとこの失態を・・・モゴモゴ」

「え?何ですか?よく聞き取れなかったんですか?」

「え?いや・・・あぁいや~実は女神は自分の世界の住人なら、蘇生も出来るんだけど別の女神が管理してる世界では自由に出来ないんだよ~いや~残念残念、ナハハハ」

(なんか怪しいな・・・)

「でも、そのアイデアいただきぃ☆、この世界では生き返らせられないけど、私の作った世界なら可能って事だから、貴方には私の世界に転生して貰いま~す」

「え?いや・・ちょっと・・・」

「うぅ~ん・・・でも、そのまま転生させて万が一にも先輩女神にチクられたら・・・ヒィッ!ガクブル・・・」

女神はその豊満な胸の前で自分の身体を抱きしめ、顔を青くして震えている

「あ、あのぉ~大丈夫ですか?」

「!?そ、そうよね!私の作った世界だもの、私が貴方が私の作った世界で快適に生活出来る様に強力な力を授ければ良いだけ」

「私が強力な力の加護を与えれば、私に感謝感激して先輩にチクるなんて事は・・・ブツブツブツ・・」

「それと、お聞きしたかったんですが何で、女神である貴方がトラックを運転なんて・・・!?」

俺がしゃべっているのにも関わらず女神は、手を翳すと「女神ヘルスティアの名において・・・・おいて・・・名前なんだっけ?」

「え?僕ですか?青木 学と言いますが?」

「おっけー、女神ヘルスティアの名において、青木 学にへルステアにおける新たなる人生と類稀な希少スキルを授けます」

女神の両手が激しく輝き、空間全体が白く発光する

「あ、ちょっと!俺の質問の答えぇぇぇぇぇ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

目をあけると、アンティーク感のある豪華なシャンデリアが視界に飛び込む

「ここは・・・・え?」

自分が発した声が、いつも聞こえていた声と全然違ってる事に驚いてしまう

「ガーク様、お目覚めですか?」

右となりより、美しい女性の声が聞こえ、視界の中に細く美しい指が伸びてきて、俺の額に乗せてあった手ぬぐいを取る

「・・・・君は・・・」

声のする方を振り向くと、そこには腰まで長く伸びた金髪に美しく輝く黄金の瞳を持つ美少女が座っていた

ただ・・・彼女の長く美しい金髪から覗く耳は人のそれより遥かに長く尖っている

「エルフ・・・なのか?」

「ガーク様、もしかして先ほど殴られて、倒れた時に何処かぶつけてしまわれたのですか?」

金髪エルフの美少女は髪の毛が俺の顔にかからない様に、その長い耳に髪の毛を掛け心配そうに瞳を揺らしながら俺の頭を優しく触る

ベッド脇で立ち上がった彼女は、小柄な体に似合わない豊満なバストを持っており俺の顔にその胸が当たる

「あ、あのぉ」

「し、失礼いたしました!やはり何処か痛めておいでなのですね!?」

俺が痛がっていると勘違いした少女は直ぐに身体を起こすと、ベッドの脇で俺に向って土下座する

「ちっ違いますよ!?て!?」

上体を起こし、彼女の方を見ると、豪華なインテリアに豪華なベッド・・・シルクの様な布団のある部屋に似つかわしくないボロボロの服を着ていた・・・しかも足元は素足・・・

「ごめん、俺には何がなんだか・・・悪いけど今の状況を俺に教えてくれないだろうか・・・えぇ~と・・・」

「私めはリリィと申します、ガーク様」

リリィと名乗った少女は、俺が頭でも打って記憶が混濁してると思ったのか心配そうにそう自己紹介した

「えっと・・・リリィ?さん?」

「リリィと呼び捨てでお願い致します、私はガーク様の奴隷に御座いますので・・・」

「は?え?奴隷?」

リリィの口にした奴隷という言葉がいまいち呑み込めず、聞き直すと

彼女はボロボロの白いワンピースの胸元を少しだけ下げ、胸の谷間を俺に見せる

「入れ墨?何かの模様?」

胸の谷間の中心に親指位の大きさで、赤く逆三角形の紋様が刻まれていた

「はい、隷属の紋章です・・・この隷属の紋章はガーク様を主として登録しておりますれば・・・」

流石にすこし恥ずかしそうに頬を染めながら、そう説明するリリィ

「ん?リリィその右腕の跡も何かの紋章か?」

「っ!?」

リリィの肩口から右の二の腕にかけて黒く細長い入れ墨の様な模様が刻まれている

「これは・・・」

何やら訳アリの様だ、言いたく無さそうだし、これ以上無理に聞き出すのは申し訳ない

「あ、いや言いたく無いなら別に「いえ!」・・あ、そ、そう?」

すると、リリィは俺から顔を背け右腕に刻まれた黒い痣を左手で隠しながら、俯き気味に語り出した

「これは、私の暮らしていたエルフの国の森に棲むという邪悪な神「蛇神」に呪われた印です・・・」

「エルフにとって蛇は不幸の象徴・・・狡猾にして残忍・・自然と動物を愛する森の民にとって蛇神に魅入られた私は、薄汚い呪いの子・・それで森を追われて・・・」

自分の身の上を話すリリィの表情は苦悶に歪みその黄金の瞳には、薄っすらと涙が浮かぶ

「わかった、それ以上は言わなくて良いよ・・・ゴメンね嫌な事を思い出させて」

「え?・・・いえ・・」

「それより、その奴隷の紋章だけど解除する方法は無いの?」

!?

俺の言葉が信じられないと言わんばかりに驚くリリィ

「そ、それは、主であるガーク様であれば主従契約は解除できますが、隷属の紋章自体を消し去る事は出来ません」

「それは、どういう意味だ?」

「つまり、主の居なくなった奴隷は紋章に上書きできる様になります、奴隷商人であれは次なる新たな主を刻む事が可能です」

「なっ!?つまり俺が主でなくなっても、別の誰かがリリィの主になって奴隷とするって事か!?」

リリィは悲しそうに頷く

(なんて事だ・・・一生奴隷として過ごさないといけないのか・・・なんて残酷な・・・女神は・・・ヘルスティアは自分の世界でこの様な事が横行してる事を知っているのか?)

「ガーク様?」

考え事をしていた俺の事を心配そうに見つめるリリィ

「悪い、少しその隷属の紋章を見せてもらって良いか?」

俺がそう言うと、少し戸惑うそぶりを見せるが主の命は絶対なのか、オズオズとボロボロのワンピースの胸元をはだけさせ、俺に隷属の紋章を見せる

「少し触るぞ?」

コクリ

恥ずかしそうに頬を染め小さく震えながらも頷くリリィ

俺は、他の所を触らない様に注意しながら、恐る恐るその紋章に触れてみる

【『奴隷鑑定システム』を使用します】

!?


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