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1.73% 転生したら、前世の私とライバル関係になった / Chapter 7: あなたは私のことが好きなの?

章 7: あなたは私のことが好きなの?

編集者: Inschain-JA

時田美咲は望から目を離さなかった。

彼女は知らなかったが、すでにクラスの注目の的になっていた。

転校生というだけでも注目されるのに、彼女はそれ以上に目を引いた。

十八歳の時田美咲は、まさに青春の象徴だった。彼女が現れた瞬間、それまでクラスの一番のきれいな女と呼ばれていた女子たちも、比較にならなくなった。

本人は気づいていなかったが、クラスメイトたちの視線は正直だった。

しかも、美咲はあからさまに望を見つめていた。

宮崎明人の整った顔立ちは芸能界でも群を抜いていたし、美咲自身もまた美しかった。そんな二人の子である望の容姿は、言うまでもなく完璧だった。

ただ立っているだけでピントになってる。中学から高校にかけて、ずっと校内一のイケメンの座に君臨していた。

全校の女子が彼を好きというわけではないが、少なくとも半分は彼の顔に恋をしていた。

そんな中、美咲があんなにも真っ直ぐに望を見つめているのを見て、女子たちは声をかけるのをためらった。

だが男子たちは違った。これほど美しい転校生が来たのだ。たとえ彼女が望を見ていようとも、話しかけずにはいられなかった。

授業が終わり、望が教室を出ようとした瞬間、美咲も後を追おうとした。だが、その前に男子生徒たちが立ちはだかった。

「ねぇ、君、名前は?」

「私は時田…ちょっと、どいてください」

「やめとけって。学校のイケメンは誰にもなびかない。クールで、誰も落とせないんだ」

男子たちは親切心から止めるように見せかけて、「彼を追うより、俺たちと仲良くしない?」と軽口を叩いた。

一方、美咲の隣の席の男子はその会話を耳にすると、数歩走って望に追いついた。

「おい、お前の彼女、誰かに止められてるぞ」

望は肩をすくめ、その手を払いのけながら屋上へ向かって言った。「だから知らないって言ってるだろ。変なこと言うな」

「へぇ、そうは見えなかったけどな」

望は返事をせず、そのまま屋上へ上がった。

男子は後を追い、欄干に寄りかかりながら言った。「ここには俺たち二人しかいない。誰にも言わないから、正直に話せよ。隠さなくていいって」

望はスマホを見ながら眉をひそめた。「さっきから言ってるだろ、知らないって」

「まだ誤魔化す気?俺、全部見てたぞ。さっき彼女がメッセージ送ったとき、お前のスマホ震えてた。で、笑っただろ?彼女もお前を見て笑ってた。どう見ても怪しい」

望はスマホを閉じ、「それは母さんからのメッセージだ」と言った。

「おばさんから?本当に?でもさ、あの子のスマホの待ち受けもホーム画面もお前だったぞ?」

望は眉を寄せた。「たぶんどこかで盗撮されたんだろ」

そう言いながらも、彼の中で何か妙な違和感が残った。時田美咲という存在は、言葉にできないほど不思議だった。

そのころ、美咲は下の階で足止めを食らい、望を見失っていた。

幸い、授業が始まる前に望は教室に戻ってきており、美咲は胸を撫で下ろした。

次の授業が終わると、もう放課後だった。

望が鞄を背負って出て行くのを見て、美咲はすぐに追いかけた。

「望、大事な話があるの」

「何?」

「静かな場所で話したいの」真剣な美咲の表情に、横を歩いていた男子が吹き出した。

望はちらりと彼を見て眉をひそめたが、穏やかに言った。「わかった、じゃあこっち」

彼は道路脇に立ち、掲示板を一瞥してから、まっすぐに美咲を見た。「君、私のこと、好きなの?」

「えっ?」

美咲は一瞬、頭が真っ白になった。彼は彼女の息子――もちろん愛している。

けれど、そういう意味じゃない。

彼女が言葉を探している間に、望が続けた。「好きでいてくれるのは嬉しい。でも今は恋愛する気はない。私たちは高三だし、勉強に集中すべきだ。君も、私なんかに時間を使わない方がいい」

美咲は返す言葉もない。「……違うの、望、そういう意味じゃなくて」

(息子よ、私はあなたの母親よ!)

だが、言葉は口に出せなかった。

望は淡々とした口調で言った。「もし私が誤解してたなら悪かった。でも、そういう意味じゃないなら、もうついてこないで。君が勉強を頑張って、いい大学に入れるよう願ってる。じゃあ、さようなら」

そう言って軽く会釈すると、昨年の誕生日に美咲が贈った自転車に乗り、颯爽と走り去った。

美咲は呆然と立ち尽くした。車を取りに行こうとして思い出した――校門の前に急いで停めたままだった車は、もうレッカー移動されていた。

美咲は慌ててシェア自転車を見つけ、必死でペダルを漕いだ。だが全力でも追いつけず、幸いにも帰り道を知っていたため、そのまま家の方へ向かった。

家の近くでようやく、望に追いついた。

いや、正確には――望が電話を受けるために止まったのだった。

美咲は急いで近づき、二メートルほど手前でブレーキをかけた。

彼のスマホの画面に映る人物を見た瞬間、動きを止めた。

宮崎明人。

「……うん、もうすぐ帰るよ。ママ?マならもう家にいると思う」

望はイヤホンをしており、美咲には明人の声は聞こえなかったが、望の言葉は聞こえた。

「ママは元気だよ。ちょっと首が痛いって言ってたけど、マッサージしてあげたし、明日は一緒に温泉行ってリラックスさせる」

「ママのことは私がちゃんと見てる。だから心配しないで、パパ」

望の声には優しい笑みが混じっていた。長い脚を軽く支えにしながら、リラックスした様子で話すその姿――ママを語る声は柔らかく、珍しく饒舌だった。

美咲は、画面の中でまだ撮影衣装を着ている宮崎明人を見て、目に複雑な感情を宿した。

「誕生日には帰ってこられるの?」

望の弾んだ声に、美咲の胸が締めつけられた。

「本当に?もちろん空けておくよ」

「私から会いに行ってもいいけど……ママが一緒に行けるかはわからないな」

「うん、連絡待ってるよ。じゃあパパ、そっちは忙しそうだし、人が呼んでるの聞こえる。うん……わかった、バイバイ」

通話を終えた望がスマホをしまうと、横で立ち尽くす美咲に気づいた。

「……なんでここにいるの?」

眉をひそめ、鋭く言った。「まだ私を追いかけてるの?」

美咲は慌てて手を振った。「違うの、望。話があるの」

望の表情が冷えた。「さっき、何を見た?それとも、何を聞いた?」

「え……?」美咲は答えられなかった。

「何を見たにしても、何を聞いたにしても覚えておけ。私は宮崎明人のファンだ。さっきはただ彼のビデオを見てただけだ」

望は冷ややかに言い、自転車にまたがった。「それと、もうついてくるな。これ以上ストーカー行為をするなら、警察に通報する」

そう言い残し、彼はペダルを踏み込んで走り去った。

美咲はその場に立ち尽くしたまま、しばらく動けなかった。

彼は、彼女が宮崎明人とのビデオ通話を見たことに気づき、何かを悟られたと思って取り繕ったのだ。

望と宮崎明人――その関係こそ、美咲が命懸けで守ってきた秘密だった。

彼女は望の穏やかな生活を壊したくなかった。

そのために、彼に「時田」という姓を与えたのだ。

離婚前、彼の名前は宮崎望だった。離婚後、美咲は彼に自分の姓を付け加えた。

宮崎明人がまだ新人だった頃、二人の交際は彼の両親に猛反対された。「女に頼る男」と言われるのを恐れ、二人は関係を公にしなかった。

結婚しても、明人が人気俳優となってからも、公表はされなかった。キャリアへの影響を恐れたからだ。

そして、望が生まれても、事情は変わらなかった。離婚後、美咲はその事実をさらに固く封じた。

彼女は何度も何度も望に言い聞かせた。「決して、誰にも気づかれないように」と。――だから、彼がそう言ったのも無理はなかった。

「望……望……」

美咲は我に返り、再び彼を追おうとしたが、門の警備員に止められた。


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