章 11: 第11章 息ができないほどの圧迫
現代に存在していたなら、女性を悲鳴を上げて足がふらつくほど魅了する、そんな男だった。
全身から高貴で成熟した雰囲気を漂わせるこのような男は、偶然にも陸涼微が賞賛するタイプだった。
しかし彼の身分や、この男の冷酷さを考えると、賞賛する気持ちなど消え去ってしまう。
龍鞅は陸廷琛の嘆願を無視し、冷ややかな目で涼微を見つめ、意味ありげに言った。「陸家の次女、まだ何か言い訳があるか？」
彼の後ろに立つ趙乾は、額の冷や汗が流れ落ちるのを拭おうともしなかった。
先ほど、主が突然呼吸を止めた時、彼は涼微の言葉に従って主を地面に平らに寝かせた。だが誰が想像しただろう、涼微が主の胸を強く押し、そして最後には主に口づけまでしたとは……
主に口づけ？
趙乾は肝が冷える思いだった。
普段から潔癖症の主は、妃子が半歩近づくことさえ許さないのに、まして口づけされるなど……
以前、宮中で長年皇帝に仕えていた宮婢が、お茶を出す際に誤って主の手に触れただけで、その場で引きずり出され打ち首にされた。
涼微があのように主を冒涜した以上、その結末はより悲惨なものになるだろう。
たとえ陸世子が主から深く信頼され重用されていても、もはや役に立たないだろう。
主は決して彼女を許さないはずだ。
彼は廷琛の隣に立つ少女に目を向け、哀れみと惜しむ気持ちを感じた。
若くして、あれほど美しい容姿を持ちながら、もし死ぬとしたら本当に惜しいことだ。
廷琛は皇帝の言葉を聞き、心が震え、手を強く握りしめた。
彼は皇帝の側に長く仕えていたため、皇帝の一見平静な口調に含まれる殺意と不快感を聞き取ることができた。
彼は妹に視線を向けた。涼微、いったい何をしたのか？
皇帝をあれほど怒らせるとは！
涼微は皇帝の言外の意味を理解していた。もし今日の彼女の説明が皇帝を満足させなければ、廷琛がここにいたとしても、彼女はこの部屋から生きて出られないだろう。
この男は重病を患い、長くは生きられないとはいえ、極めて恐ろしい存在だった。
その明からさまな手段は、聞くだけで心底恐ろしくなるほどだ。
よく考えた末、涼微は口を開いた。「皇帝陛下、もし私が先ほどあなたを救っていたと申し上げたら、お信じになりますか？」
龍鞅は何も言わず、黒く深い瞳で彼女をじっと見つめた。
彼はただそこに座っているだけだったが、全身から形のない威厳が放たれ、人を息苦しくさせていた。
涼微は心がきゅっと締め付けられ、背筋に冷や汗が走るのを感じた。彼女は手のひらを握りしめ、続けた。「陛下の心臓が突然停止し、呼吸が止まっていました。状況が余りにも切迫していたので、私は考える余裕がありませんでした。もし私の行動が陛下を冒涜したのでしたら、どうかお許しください。」
呼吸が止まっていた？
龍鞅は自分が意識を失ったことは知っていたが、心臓停止、呼吸停止？
彼は趙乾に目を向けた。
趙乾は冷や汗を流しながら頷いた。「あの時、主のご様子は確かに非常に危険でした。この老いぼれの無能が…」陸家の次女に主を弄ばれる隙を与えてしまった、自分にも逃れられない責任がある。「どうか主よ、お罰をください。」
龍鞅は理解した。涼微は嘘をついていないようだ。
「心臓停止と陸家の次女の行動に、どのような関係がある？」龍鞅は深遠で測り知れない目で涼微を淡々と見つめた。
脳裏には、目を覚まして開いた瞬間に見た、少女の柔らかい唇が自分の唇に押し付けられている光景が浮かんだ…
彼の瞳に一瞬の怒りと冷たい殺気が走った。
涼微は真剣な表情で言った。「胸を押したのは心肺蘇生を行うためです。人工呼吸については、陛下の呼吸が止まっていたので、酸素を供給し、体内の二酸化炭素を排出するために行いました。」
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