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1.05% 離婚後 無口な元妻に哀願する橋本社長 / Chapter 2: 実家の誕生日宴会

章 2: 実家の誕生日宴会

編集者: Pactera-novel

和也は一目散に書斎に入った。会社でまだ彼の対応を必要とする用事があったのだ。

本来なら安奈は階下に行って藤田おばさんに避妊薬をもらおうと思っていた。たとえ誤って妊娠したとしても、病院に連れていかれて中絶させられるだけだということは分かっていたからだ。和也がそんなことするだろうと確信していた。以前にも「子供で僕を縛り付けようとするな」と言われたことがあったのだから。

ただ、ネットで申し込んでいたオンライン授業がすでに始まっていて、授業を見ることに夢中になり、避妊薬をもらうことを忘れてしまっていた。

藤田おばさんが寝室に入ってきて布団やシーツを取り替えようとした時、部屋中の散らかりを見て、避妊薬を取ってきて授業に集中していた安奈に渡した。

「奥様、お薬です」

藤田おばさんは安奈の肩を叩き、水の入ったコップと薬を彼女の前に差し出した。

こんな時は何度もあったので、安奈は目をタブレットから離すこともなく、水を受け取って薬を飲み込んだ。

藤田おばさんは安奈が見ているオンライン授業をちらりと見ると心の中でため息をついた。複雑な思いだった。彼女だって海城の名門・山崎家の末娘なのに、不運にも私生児だった。

安奈が三、四歳の時に山崎智明が外から山崎家に連れ帰られた。智明は中年にして娘を得て、大変喜んだ。安奈は幼い頃、賢くて愛らしく、智明を喜ばせていた。だが数年後、どういうわけか安奈は唖者になってしまい、みんなが智明の妻がやったと噂していた。

安奈の七歳の時、智明は出張中に交通事故で亡くなった。葬儀が終わるとすぐに、彼女は智明の妻・伊藤琴子によって使用人の中に放り込まれ、女中として育てられた。

この私生児を苦しめようというのが本意だったが、安奈が二十歳の時、琴子の愛人が投資に失敗し、流動資金をすべて持って海外に逃げたため、山崎家は長年の宿敵である橋本家に安く買収されそうな状況に陥った。

琴子は山崎家が橋本家に買収されるのを避けたかったが、実の娘の幸せを犠牲にしたくなかった。そこで安奈を麻酔で眠らせ、きれいに洗って裸にし、プロポーズを断られてバーで酔っていた和也のもとに送り込んだ。翌日、二人が裸で同じベッドで寝ている写真が海城の各大新聞の一面を飾った。

橋本集団の舵取りと、すでに破産した山崎家の私生児が一緒にベッドにいた。しかもその私生児は、幼い頃から学校にも行ったことのないのない唖者だった。

橋本家はもちろん責任を取るつもりはなく、山崎家は目前の巨利をみすみす逃すはずがなく、あらゆる手を尽くして、ついに安奈を橋本家に入れることに成功し、橋本家に認められていない若奥様となった。

安奈はは橋本家で飼われている犬のようなもので。すでに三年が経っていた。

和也は安奈と一緒に実家に戻ることはなく、先に車で出ていった。藤田おばさんが運転手に電話をして、若奥様を迎えに来るよう手配した。

橋本家の実家に着いたとき、運転手は安奈を正門から降ろさなかった。今日は当主の八十歳の誕生日で、人の出入りが多く、当主と奥様はこの唖者の若奥様が人前に姿を現し、橋本家の恥をさらすのを望んでいなかったからだ。そのため車をいつも使用人が使う小さなアーチ型の門に回し、安奈にそこから身をかがめて入るよう促した。

彼女が中に入ったのを確認して、ようやく安心して去っていった。

遠くには今夜のパーティーが行われる野外レセプションホールがあり、すでに人影がちらついていた。橋本彰人夫妻がそこで客人を出迎えていた。

そのとき突然、庭から悲痛な叫び声が聞こえ、すべての人の注意を引いた。


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