中年オジサンが二度目の魔法少女になった件

林田彰人、三十六歳。妻に先立たれ、民間企業の中間管理職として働く一人親の父。
中年の危機を肌で感じる日々を送っていた。

仕事では不運が続き、家庭では十四歳の娘と冷戦状態。さらに体は肩周囲炎に蝕まれ、毎日が耐え難い痛みに満ちている。
そんな折、彼は衝撃の秘密を知ってしまう——娘が「魔法少女」だったのだ。

世間からは、怪物と戦い都市を守る英雄と称えられる魔法少女。
だが彰人は知っている。その力は命を削る危険と隣り合わせだということを。

彼女を止めるべきか、それとも娘の選択を尊重し、別の形で守るべきか。
クローゼットの奥でほこりをかぶる、かつての心の花を見つめながら——
十九年前に引退した元・魔法少女、彰人は、人生で三度目の重大な選択に直面していた。