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15.78% 半妖精と竜印姫の反逆譚 / Chapter 3: 竜印の姫と月牙の紋章

장 3: 竜印の姫と月牙の紋章

やがて視界がひらけたとき、野の石と生きた樹で組まれた、どこか愛らしい小屋が姿を現した。小屋の前には小さな庭があり、その脇で小柄なエルフが膝をつき、花々を丹念に手入れしている。森の縁で小枝がぱきりと折れる音がして、セレナは反射的に顔を上げた。庭のエルフは本能のままに脇の弓を取り、矢を番える。身をひとひねりしただけで流れるように振り向き、二人の女へと弓先を向けた。

「動くな!」鋭く苛立ちを含んだ声が空気を裂く。隣でアリラが身を強張らせるのを、セレナは気配で感じ取った。開け地の向こう、色素の薄い褐色の髪と鮮やかな翠の瞳を持つエルフが、二人を射すくめている。

「旅の者か。名を名乗れ」

「シャドリアンに会いに来たの」セレナは落ち着いて答え、横の娘を示した。「彼女は手当てが必要よ」

「シャドリアンは会わない。おまえは人間だ。助けなど受けられない」エルフは冷ややかに言う。

「ティオリル。父上のご意志を疑うような真似はやめて。呼んだのは彼の方よ。あなたは代弁者じゃないはず」

弦の張りがわずかにゆるみ、弓は少しだけ下がった。「どうして私の名を知っている」

「聞き及んでいるだけよ」セレナはそう言いながら、柔らかい草の上へとアリラをそっと膝まずかせ、体を支えた。

セレナの手つきと先ほどの言葉に、ティオリルの疑念はいっそう膨らんだ。しかも人間に連れられている娘がエルフだと知り、その困惑は増すばかりだった。陽光に金の髪がちらりと輝き、少女は痛みに額を押さえている。彼の知るエルフは総じて背が高く、暗い髪に緑の瞳を持つ。だが彼女は、彼らと比べてほとんど白磁のように色が薄く、どこか異質だった。

「その娘はどうした」ティオリルは歩み寄りながら問う。

「森の縁で、妙な狼に襲われたの」セレナはこともなげに言う。「どうにか追い払ったわ」アリラの視線を正面から受け止め、セレナは無言で「黙って」と告げる。

「中へ運ぶ。傷の手当てをする」ティオリルがセレナの脇をすり抜け、アリラの腕を取って起こそうとしたその瞬間、彼は息を呑んだ。姿勢が固まり、瞳孔が広がって焦点を失う。彼の見ているものは、開け地のはるか先だった。――炎と氷の渦が視界に迫る。伸びる手、翠の双眸、そして「シャドリアン」と名を呼ぶ叫び。彼が触れている女は、宙に浮かぶ三日月形の宝玉をつかみ取る。さらに、エルフの軍団が襲来する光景。耳の奥で、遠い異界の咆哮が反響し、彼は反射的に身を引いてアリラの腕を離した。

「おまえは……いったい……何が起きている……なぜこんなにもはっきり見える……おまえは何者だ」ティオリルは言葉を絞り出す。

アリラは目を伏せた。「私は……アリラ・ルナワイルド」

ティオリルの困惑はいっそう深まる。「だが、おまえはエルフだろう。人間の名を持って、なぜだ」

「わ、私は……ただ……」アリラが顔をそむけたとき、柔らかな掌が彼女の頭にそっと置かれた。

見上げると、淡い青の頭巾にいくつもの水晶をあしらい、ゆったりとした法衣をまとった老エルフが立っていた。アリラの目に涙がにじむ。老エルフは微笑み、指先でやさしくそれを拭う。

「愛しき子よ」囁きは古く、賢く、そして限りなく温かい。「待っていたよ」

「やっぱり、あなたね!」セレナは老エルフを睨みつけ、叫んだ。「道中、私の頭の中で話しかけてきたのは、あなただった」

「そうだとも」老エルフはうなずき、数時間前にセレナの耳へ響いた“あの”音楽的な文句を、そのまま口にする。ティオリルは意味を理解し、驚いてセレナを見た。「――『救い手にして“竜の女王”』。それが、エイガルディアの将来の継承者たる、あなたの定めだ」

「では、あなたがシャドリアン。私に“道”を示す者ね?」

「私だ」老エルフ――シャドリアンは答え、呆然とするティオリルの頭をぽんと叩いて表情を和らげた。「さあ、息子よ。あのエルフの娘を連れて中へお入り。運命がどこを指し示しているかは、もうわかっているだろう」

「はい、父上」ティオリルは恭しく頭を垂れた。

セレナが広間へ案内される間、ティオリルはアリラを別室へと連れていく。彼が去っていく背を見送りながら、セレナは、先ほどアリラに触れたとき彼が“何を見たのか”を思わず考えた。彼女はシャドリアンの後に続き、薄暗い応接の間へ入る。老エルフの指がひらりと動くと、部屋のあちこちに据えられた燭台が次々に灯り、室内に柔らかな光が満ちた。

「さて」シャドリアンが口を開く。「私はずいぶん前から、きみの内に“とてつもなく大きなもの”が息づいているのを感じていた。きみはこの世界の運命を変える」

「私が望むのは、奪われたものを取り返すことだけ」セレナは反駁する。「それに、どうやってドライケンを倒すか、まだ見当もつかない」

シャドリアンの瞳に、どこかティオリルと同じ遠い色が宿る。「私は見た。きみの系譜に連なる偉大な竜たちを。この地の大いなる伝承を。そして世界の“大魔導士”たちが、一つの大義のもとに並び立つさまを。神話という神話が、現に成就していく光景を。いまや二つの民を抱え込むこの国が、大陸全土を揺るがす大争乱の中心となるだろう。――やがて“セレナ”は魔を帯びた竜たちの背に再びよみがえり、天より舞い降りる」

「“セレナ”は死んだのよ!」セレナは叫ぶ。「不自然なやり方で誰かを蘇らせる話なんて、二度と口にしないで」

「答えは竜のもとにある。自分の目で確かめてきなさい」

「“生き生きとしている”ですって? 私の祖先セレナが? 笑わせないで。竜だってとうの昔に滅んだわ。……神話でしかないのよ」

「いずれ驚くことになる」シャドリアンは静かに言う。「彼らの山の住処へ旅立ちなさい。そこで、きみの道は開ける」

「私に竜を呼び出せると? 我が家は長いあいだ試みてきたのに、一度だって成功していないのよ」

「言えるのは一つ。竜こそ、きみの未来の鍵だ。そしてきみが連れてきたあの娘もまた、これからの運命に深く関わる」

「どういう意味」

「人の子よ」シャドリアンは温かく、そして賢者の微笑で告げる。「運命に委ねるのだ。人生の一歩一歩を先回りして見通そうとし続ける者は、結局、何ひとつ“生き切る”ことができない」

セレナは長く息を吐いた。「……たしかに、その通りかもしれない。でも、私が“竜の淑女”だなんて、まるで想像できない」

老エルフは彼女の肩に慰めるように手を置いた。「あらかじめ敷かれた道を、素直に自分の道だと思える者などいない。誰もが用意されたものを恐れ、否定する。だが、それが“さらに悪くない”道であることに満足し、与えられたものを受け入れるのだ。顔を上げなさい。どんなときでも、明日は今日よりいくらか良くなる」

セレナは黙ってうなずき、感謝の意を示した。

――同じ頃。廊下の先の部屋では、壁から自然に生え出たように見える奇妙な台のそばで、鼻先に押し当てられた強い刺激臭の液体に、アリラがむせていた。感覚がいくぶん晴れても、頭痛はなお激しく脈打つ。

「横になって」ティオリルは落ち着いて言った。アリラは素直に体を預ける。「噛み傷や切り傷は? 自覚している怪我はあるか」

「ほとんど……ないと思う」アリラはわずかに怯えを含んだ声で答える。「背中と脇腹に少し痣があるくらい。私がわかるのは、それだけ」

「そんな獣の襲撃を受けてそれだけで済んだのなら、よほどの術者だな」ティオリルは言い、アリラは目をそらした。

部屋に濃い沈黙が降りる。――何か、まずいことを言ったか? ティオリルは心中で自問する。彼が見た“未来”は、決して快いものではなかった。彼女は、すでに起きることを知っているのだろうか。

「少し休むといい」ティオリルは低くささやく。「何かあれば、私の名を呼びなさい」答えの出ない疑問でなお頭をざわめかせながら、彼は静かに部屋を辞し、アリラを休ませた。


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