唐沢様、私を独占したがる

結婚前、彼の言葉は刃のようだった。「安田詩織、お前は心底穢らわしい」
結婚後、彼の願いは切なかった。「夫人……どうか、私に一眼を」
彼女がくれたのは、冷ややかな一言。「面汚しめ」
海城の唐沢若――冷厳で気高く、情け知らずの男。だが、その小さな妻に対してだけは、愛を骨髄に刻み、命そのものとして守り、誰の指一本触れさせはしない。
安田詩織は嘲笑うばかり――それは、全て彼の繕った偽りだと。