辺境皇子から神聖なる天皇へ

『黒雨』の難易度9を世界で初めてクリアしたプレイヤーのソールは、偶然にも『黒雨』の世界に転移してしまった。
グッドニュース：彼は皇子の体に転生した。
バッドニュース：この皇子はすでに帝都から追い出され、現在は捨て駒の軍団を率いて人族の辺境要塞を守る領主となっていた。
グッドニュース：彼はゲームには登場しなかった指揮官という職業を持ち、味方に様々なバフや戦術支援を提供できた。
バッドニュース：彼自身の戦闘能力の成長はほぼゼロだった。
グッドニュース：彼はゲームの熟練度を活かして八人の主人公全員を傘下に収め、さらにモンスターの属性や希少なアイテムの入手場所にも詳しいため、より早く強力な部隊を育成することができた。
バッドニュース：要塞は崩壊寸前で、様々な隠れた魔物が存在し、これはセーブ不可の一発勝負、難易度10のようだった。
……
数年後、天皇が崩御し、王城は混乱に陥った。
長い時間をかけて成長し、魔王軍を打ち破り、人族の故地を取り戻したソールは急遽帝都に呼び戻され、会議に出席することになった。
「つまり、私のような辺境皇子を呼び戻して帝位を継がせたいということですか？」
剣を首に突きつけられた大臣たちは涙ぐみながら、しぶしぶ頷くしかなかった。