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鈴木美香はハートマークのスタンプを送って、この会話を終えた。
私に気づかれていないか確認するために振り返りさえした。
私がまだタブレットのゲームに夢中になっているのを見て、やっと安心して眠りについた。
翌朝。
美香は念入りに化粧をし、丁寧に身なりを整え、誰にも自分だと気づかれないことを確認してから、家を出た。
私は通行人を装って、彼女の後をつけた。
私のタブレットには、二人の気持ち悪いほど甘ったるい会話が表示されていた。
「ベイビー、きれいに体を洗ってベッドで待ってるよ。あとどのくらいで来る?もう待ちきれないんだ!」
「焦らないで、もう向かってるわ。着いたら、たっぷり可愛がってあげる〜」
「来る時に、誰かに気づかれなかった?」
「大丈夫よ、あの尻拭い役のバカは豚みたいに鈍くて、何も気づかないわ」
尻拭い役、バカ豚、ふん。
これらの侮蔑に満ちた言葉が私に向けられていた。
しかし今の私の心には、もはや怒りすら感じなかった。
私は角に隠れ、冷ややかに彼女が8018号室のドアをノックするのを見ていた。
中から上半身裸の黒人の大男が出てきた。
二人が抱き合って部屋に入るシーンを、私はすべて鮮明に撮影した。
彼女がタブレットにログインしていたWeChatを使って、これらの見るに堪えないチャットの記録をすべてまとめて親戚や友人のグループに共有し、さらに各友人に個別に送信した。
それらをすべて終えた後、最後に慌てた様子で警察に電話をかけた。
「大変です、警官!助けてください!密入国した黒人犯罪者が私の妻を瑞風ホテルの8018号室に監禁しています!急いで来てください!」