Capítulo 8: それぞれの思惑
Editor: Pactera-novel
若い男が4人。何を用意するのが、一番手っ取り早いだろうか。電気が使えるうちなら、鍋がいいだろう。
延長コード、電気鍋を用意する。ジャガイモ、サツマイモは皮をむき、洗い、ぶつ切りに。エノキ、白菜、青梗菜、唐辛子を洗う。鍋の素を準備し、ラム肉と牛肉のスライス、ベーコン、ソーセージ、つみれを用意する。薬味には、唐辛子ソース、豆豉醤、ゴマだれ、ごま油、香酢、オイスターソース、ラー油、腐乳、刻みネギ、おろしニンニク。麺を1.5キロ。鍋のスープが煮立ち始めた頃、王林と夏凱がドアをノックした。鍋と、用意した食材、鍋を置く小さなテーブルごと運ばせる。ついでに、使い捨ての紙コップ1ダース、食器4セット、大型ボトルのミネラルウォーターを1本渡した。
彼らが全て持ち去った後、上階のゲームルームで遊んでいる子供たちを呼んで夕食を食べさせることにした。萱ちゃんはおもちゃをいじっていた。
萱ちゃんのおもちゃは何棚もあり、彼女は困ったように選んでいた。部屋の隅で、小洛はおもちゃのクロスボウを手に取っていた。そのクロスボウは約50センチの長さで、精巧に作られており、赤外線照準器まで付いていた。ピストルタイプで、小さな引き金を引くだけでプラスチック製の柔らかい矢を発射できるものだった。
夫が、海外出張の土産に、萱ちゃんへ買ってきたものだった。萱ちゃんも、一時期は夢中になっていたが、新しいおもちゃが手に入ると、すっかり忘れてしまっていたらしい。それを、小洛が見つけ出してきたのだ。おもちゃとはいえ、射程は5メートルから10メートルほどある。もし、ゴム製の矢の先端を、鋭利なものに変え、毒を塗れば、子供たちの護身用に使えるかもしれない。
子供たちと一緒に食事を終え、萱ちゃんに弟を連れてタブレットに保存されたアニメを見せることにした。
栄閑仙は物置へ行き、2体の怪物の死骸を処理し、使えそうな部位がないか、確認することにした。
手にした、純白の皮。大鳥の腹部から剥ぎ取ったものだ。栄閑仙は、内心、安堵した。あの時、緊張のあまり、まだ不慣れな武器の狙いが逸れ、鳥の翼の付け根に当たったのは、幸いだった。もし、予定通り腹部を狙っていたなら、致命傷を与えることなど、到底できなかっただろう。あの鳥が、余裕の表情を浮かべていたのも、頷ける話だ。
大きな鳥の腹部の皮膚の防御力は、栄閑仙の想像をはるかに超えていた。
かなりの労力を費やし、長い時間、研究を重ね、ようやく、皮と骨の繋ぎ目の、脆弱な部分を見つけ出し、皮を、傷つけずに剥ぎ取ることに成功した。この皮で、子供たちに防護ベストを2着、作ってやろうと考えた。
大きな鳥から皮を剥ぐのは難しかったが、その後の処理は比較的簡単だった。通常の毛皮のように鞣す必要はなく、この皮は柔らかく弾力性があり、蒸して乾かすだけで加工できた。
「ああ、やっと温かい食事にありつけた。うまい！」夏凱が、恍惚とした表情で言った。
「おい、ゆっくり食えよ、お前ら。何日も、まともに食ってないんだ。急に詰め込むと、腹を壊すぞ」満足げに言った夏凱だったが、振り返り、ラム肉の皿が、あっという間に空になっているのを見て、慌て出した。残りの肉を、ひっつかむようにして確保する。
王林たちは笑いながら、牛肉の薄切りを奪い合い始めた。今度は夏凱も学習して、無駄話をせずに奪い取りに行った。みんなで美味しい夕食を食べ、熱々の火鍋を食べると、体中に力がみなぎり、毛穴も開いた気がした。
体の痛みも少し和らいだ。ああ、これこそ人間らしい生活だ。この数日間、警備室ではヒヤヒヤしながら過ごしていた。
「リーダー、家のことが気になりませんか？ 俺、少し心配で。一人息子なもので、両親が、今、どうしているか……」夏凱が、ベッドを整えながら言った。
「考えても無駄だ。この状況じゃ、外へ出ることもできない。高速鉄道も、止まっているだろう。通信も途絶えたままだ。何の知らせもない。もう少し、様子を見るしかない」王林は、どさりと、整えたばかりのベッドに身を投げ出した。
「リーダー、車を手に入れれば、西塘まで、戻れるでしょうか？」廖勇が、ベッドに横たわる王林に尋ねる。
「どうだろうな。外の怪物は、あれほど凶暴だ。詰め所からこの5号棟まで、ほんの僅かな距離で、何体に遭遇させられたと思う。幸い1体は仕留められたが、他の3体には逃げられた。初日には、飛行する怪物が、人間を、まるで小鳥でも掴むように連れ去るのも見せられた。お前の考えは分かる。地下駐車場には車がいくらでもあるし、鍵開けも得意だろう。だが、1人で運転して出る勇気があるか？ もし、怪物に遭遇させられたら？」王林は、気のない声で言った。数日、ろくに眠れていない。温かい食事で満腹になり、眠気が襲ってきていた。
「1人で行くわけないでしょう。警備隊の中で、西塘方面が故郷の者は、少なくとも5人はいます。リーダーが、書き置きを残してくれたでしょう。皆、遅かれ早かれ、ここへ来るはずです。その時、帰りたい者がいれば、一緒に行動できる。とにかく、この状況では、両親や妻のことが、心配でならないんです。結婚したばかりで、妻は、妊娠しているんです！」体格のいい大男である廖勇の目が、みるみる赤くなっていく。
任田が、彼の肩を叩いて言った。「5人以上になるなら、俺も一緒に行く。故郷は鄂川だ。西塘から、そう遠くない」
「もし、お前たちのご両親や家族が無事だったとして、お前たち自身が、帰る途中で怪物の毒牙にかかったら、彼らをどれほど悲しませることになるか、考えたことはあるのか？ なぜ、待てないんだ。もしかしたら、政府が、すぐに通信を回復させるかもしれない。そうなれば、状況も、はっきりするだろう」王林が、ベッドから、がばっと跳ね起きた。
「リーダー、事は、そう単純ではないように思えます。もう3日も経つのに、何の知らせもない。聞こえるのは、散発的な銃声だけです」
怪物は多種多様で、数も増えているようだ。たとえ軍隊が出動しても、短期間で一掃できるとは、到底思えなかった。
都市は人口が密集しているため、大量破壊兵器は使えないし、通常の熱兵器では怪物に対する殺傷力は理想的ではないだろう。
怪物の狡猾さも目の当たりにした。負けそうになると逃げ、決して死に物狂いで戦うことはない。
「それに、隠れて、待ち伏せや奇襲を仕掛けてくる。逃げることも知らず、ただ突っ込んでくるような奴には、あの1体しか、遭遇させられていません」夏凱が、心配そうに言った。
「皆に、いい知らせがある。怪物を倒せば、スキルブックを落とし、個人の実力を高めることができる。希少なアイテムや装備、武器を落とす可能性もある。今、俺たちにできるのは、休息をとり、知らせを待ち、チームを組み、怪物を狩ってアイテムを手に入れ、実力を高めることだ」王林は、他の3人を、励ますように見つめた。
「でも、初日に詰め所の外で倒した怪物が落とした、あの、符術の書とやら、俺たちには、まるで理解できないんです。字は読めても、意味が分からない」夏凱が、焦れたように尋ねる。
「ああ、そうだ。あの本は、栄さんにお貸ししました。物も薬もいただき、食事まで用意していただいたんだ。異論はないだろう？」王林はわざと、栄閑仙が食べ物と引き換えに本を借りたいと言ったことを言わなかった。他の3人の態度を見たかったのだ。
恩を受ければ、強くは出られないものだ。同僚とはいえ、人の心の内など、計り知れない。もし、ただで飲み食いし、感謝も知らぬような者がいれば、この先、どうなるか。早めに、袂を分かつ方がいいかもしれない。
「リーダー、俺は構いません。ただ、もし栄さんが内容を理解できたなら、俺も、教えていただくことはできないでしょうか？」夏凱が、慌てて、真っ先に言った。
任田は眉をひそめ、言いたいことがあるようだが言い出せない様子だった。
「リーダー、いつまで貸すつもりですか？」廖勇が、率直に尋ねた。
「あの人に、食事を提供していただく必要がなくなれば、返してくれと、口にできるだろう」王林には、皆の考えが、おおよそ、見て取れた。
「それなら、全く問題ありません。栄さんが、この状況で食事を提供してくださるなんて、命の恩人と言っても過言ではない。ただ、状況が状況ですし、怪物から出た物ですから、その……」廖勇は、頭を掻き、少し、言い淀んだ。
みんな心の中ではわかっていた。今はこの本が何を意味するのか誰にもわからなくても、将来的にはかなりの価値があるかもしれないということを。
数日間、緊張して食事も睡眠も十分にとれなかった彼らは、ようやく安全な環境で食事をし、少し話をした後、早々に眠りについた。
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