Capítulo 6: 早めに捨てちゃえ！
Editor: Pactera-novel
酒井美月は佳穂のことばかり言って、詩織のことは言わないのね。
酒井美月は詩織の方を見て、ちょうど詩織と話し合いたいと思った。
しかし思いがけないことに、詩織が言った。「遠藤智也小叔がそう呼べと言ったんです」
「遠藤若様がそう呼べと？」美月は驚いた。なるほど、以前詩織がそう呼んだとき、遠藤智也はごく自然に応じていて、意外そうな様子はちっともなかった。
美月は詩織の年齢が小さいから、智也がほっといたと思っていた。
今振り返ってみれば、遠藤智也は相手の年齢が小さいからといって我慢してあげるはずがない。
「ううん」詩織はうなずいた。「彼からそう呼べと言われたので、呼ばないこともできなかった」
詩織は心の中で思った：私は嘘をついていない。
彼のことをお兄さんと呼ぼうとしたら、智也にダメだと言われ、無理やり小叔と呼ばせた。
酒井美月は喜んで言った。「うちの詩織はかわいいからね。それならこれからもそう呼びなさい。遠慮する必要はないわ」
隣で原田佳穂は怒りが爆発した。
詩織が呼べば問題ないのに、
自分が呼ぶと美月は不機嫌になる。
まったくダブルスタンダードじゃないか！
車が宮沢家の別荘の前に停まり、佳穂も一緒に降りようとしたが、美月に止められた。「佳穂、もう半日も出かけていたのよ。もう時間も遅いし、お母さんも帰宅して会えなかったら心配するわ。先に帰りなさい。また今度詩織と遊びに来なさい」
後、佳穂の返事も待たずに、家の運転手に佳穂を家まで送るよう指示した。
車が去るのを見送ってから、美月は詩織の手を繋いで家に入った。
詩織が玄関に入るとすぐに三人の兄に囲まれた。
「詩織、どうだった？いじめられなかった？」宮沢次男の彩音が尋ねた。
「まあまあ、嫌なこともあったけど」詩織は遠藤秀章と原田佳穂のことを隠すつもりはなかった。
三人の兄は佳穂のことがあまり好きではないが、それでも彼らが佳穂の性格を明らかに把握するには差し支えない。
今は好きでなくても、将来佳穂や他の人の偽装の様子に騙されないとは限らない。
さらに彼らに遠藤秀章は信頼性が欠けていることをはっきりと分って欲しかった。兄たちが秀章に好印象を持ち、満足することがないように。
詩織はまだ覚えている。前世では三人の兄は妹を溺愛する兄たちで、将来の義弟への要求も特に厳しかった。
他のことはとにかく、妹に対しては絶対優しくすべきだ。
遠藤秀章は佳穂がいないときには、いつも詩織に何でも従ってくれる。
このような偽りの様子に両親と三人の兄が騙され、遠藤秀章と詩織の結婚を同意した。
今、詩織は両親と三人の兄が早めに遠藤秀章を見抜くことを望んでいる。
「どうしたの？遠藤秀章がいじめたの？」宮沢三男の誠が心配そうに聞いた。
「原田佳穂にも意地悪れたのか？」彰は眉をひそめた。
詩織は心の中で思った：さすが彰兄さん、確実だ。
その「も」という言葉の使い方も巧みだ。
つまり彰哥の心の中では、遠藤秀章もいい人ではないと見ている！
詩織は隠さず、言い過ぎでのなく、午後の出来事をありのまま話した。
「お母さん」彰はすぐに酒井美月に言った。「これからは詩織と佳穂を一緒に遊ばせないようしてほしいです。詩織は純粋すぎて、佳穂の相手にはなりません。もし今回遠藤若様に目撃されなかったら、詩織は二人に冤罪を着せられちゃうんですね？」
妹が冤罪に着せられ、弁解もできず、言いたいことも言えず、胸いっぱいに不満を抱える姿を想像すると、彰の心は痛みで締め付けられる。
「そんなこと言わないで。佳穂はまだ子供だよ。あなたが言うようなそんな複雑なことを考えるわけないでしょう」美月は佳穂に不満を持っているが、自分は大人しい判断力を持っていると思う。
ただ、美月は子供たちが小さい時から、他人を敵扱いするのは無視できない。
「佳穂はまだ小さいし、間違った事があっても直せばいいの。良い方向に導いてあげなきゃ」美月は言った。「それに彼女がわざとやったとは限らないわ。それよりも、あなたたちは毎回彼女に会うと目立つほど冷たい態度で接するのはやめなさい。佳穂もあなたたちの妹よ」
「何が妹だ、彼女はただ従妹に過ぎないよ。僕たちの妹は詩織だけだ！」彩音は詩織の手を握って、約束した。「詩織、安心して。僕らの妹は永遠にお前だけだ。誰もお前を取り代わることはできない」
母親は不機嫌そうに眉をひそめて、彩音の言葉に賛成してない。
見ていた彰は酒井美月が彩音を叱りつける前に先に言った。「お母さん、僕たちを子供扱いして、何も分からないと思わないでください。佳穂は僕たちに会うたびに、従兄さんではなく、直接お兄さんと呼びます。それは問題ありません。お母さんが言ったように、彼女は僕らの妹です。でも彼女は詩織に対しては、姉さんとは呼ばず、従姉さんと呼びます。でも詩織は毎回彼女を妹と呼んでいます。もし前に気づいてなかったら、今度確かめてみてください、本当にそうなのかどうか」
「これは何の意味ですかと言うと？佳穂は心の底から詩織を本当に大切に思っていないということです。彼女が表で見せているように、詩織との関係がそんなに良いではないんです」さらに、詩織を替りたいと思うかもしれない。
そうでなければ、なぜ一方はお兄さんと、もう一方は従姉さんと呼ぶのだろう？
本来なら彼らと詩織が本当の兄妹であるが、佳穂には差別されている。
酒井美月は思ったこともなかった。最も分別のある彰でさえ、こんなにも佳穂を嫌っているとは。
美月はため息をついて、仕方なく言った。「君たちに彼女に親切に接してとは言わないけど、表では優しくしないと」
「ご安心ください、私たちは前もそうしていました」
美月：「……」
彰の本音は、彼らはずっと佳穂に対して表では嫌がりなく接していただけで、実際には兄妹情などは全くなかったということだ。
宮沢三兄弟は佳穂の話題をこれ以上続けたくなかった。彩音が尋ねた：「詩織、このぬいぐるみは誰がくれたの？」
もしかして遠藤秀章からのプレゼント？
もしそうなら、なぜまだ持っているの？
さっさと捨てればいいのに！
「遠藤智也小叔がくれたの。初めて会うプレゼントだって」詩織はぬいぐるみを大切そうに抱きしめ、どこへ行くにも持ち歩いていた。
家の中でも手放さなかった。
誠はそれを見て、心の中で非常に寂しく感じた。
彼らも普段詩織にたくさんのおもちゃをあげているのに、なぜ詩織はこのぬいぐるみをそんなに気に入っているのだろう？
「詩織のためにぬいぐるみを買いに行かないか？部屋中いっぱいにしよう」誠は二人の兄に言った。「彼女に他人からもらったものばかり抱かせておくのはよくない」
誠の提案に二人の兄は一致賛成した。
三兄弟は詩織にあげるぬいぐるみを選び始めた。
一方、原田佳穂は運転手に送られて原田家に戻った。
彼女が家に入ると、母親の酒井静香はすでに帰宅していた。
佳穂が玄関に入るとすぐ、静香は言った。「お手伝いさんから詩織と遊びに行ったと聞いたわ？」
「うん」佳穂は玄関でスリッパに履き替えてから入ってきた。
「昨日言ったでしょう？お義姉さんが詩織を連れて友人の家に行くから、今日は行かないようにって」静香は不思議そうに言った。
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