藤田健一は大学に入学してから父親の援助で起業を始め、毎日授業にも通っていた。
それでも彼は時間を作って私に電話をかけ、勉強の様子や最近付き合っている人のことを尋ねてきた。
私も藤田健一と同じ大学に合格するまで。
その頃には藤田健一は自分の会社を持ち、学校にはあまりいなかった。
そして私は、あと2ヶ月で18歳になる。
時間が経つのは本当に早いものだ。
携帯が手の中で震え、画面を見ると着信が表示されていた。
藤田健一からだった。
前回藤田健一に「言うことを聞け」と言われてから、もう一日一晩が過ぎていた。
電話に出ると、向こうから酒臭い声が聞こえてきた。「浩二、今どこにいる?家に誰もいないじゃないか?」
まだ20歳だが、藤田健一にはすでに上司のような威厳があった。
私が大学に入学した時、藤田健一は外に部屋を借りてくれた。ルームメイトと一緒に住むと勉強に影響が出るからと言って、彼と一緒に住むことになった。
藤田健一は忙しくない時は、ほとんどの時間を家で過ごしていた。
忙しくなると、家には私一人だけが残された。
酔った藤田健一は感情が表に出やすく、私のことについて焦りを見せた。「家に帰ってこい。外泊するなと何度も言っただろう?」
この二日間、私は高橋誠一の家に泊まっていた。高橋誠一に一言告げて、帰り支度を始めた。
「浩二、お前と兄さんって変じゃないか?」
私は首を傾げた。「どこが変なの?」
「あんなに厳しく管理されてさ。兄弟だって言わなかったら、付き合ってる相手かと思うよ」
私は少し可笑しくなって彼の肩を叩いた。「考えすぎだよ。兄さんは単に心配してくれてるだけだよ。それに男と男なんてありえないでしょ…」
出発する前、高橋誠一は何か言いたげな目で私を見送った。