松井浩明が停職になったというニュースはすぐに会社中に広まった。
同僚たちは皆、陰で噂し合っていたが、誰も直接私に尋ねる勇気はなかった。
結局のところ、会社の人間は皆知っていた、私と浩明が長年の友人だということを。
私が彼にこれほど厳しい処分を下すということは、何か大事が起きたに違いない。
午後、部署の部長が私と話し合いを持った。
「剛、浩明のことはちょっとやりすぎじゃないか?」
鈴木部長は温厚な人柄で、いつも私たちを気にかけてくれていた。
「結局お前たちは古い友達だろう?何か問題があるなら、座って話し合えばいいじゃないか?」
「部長、これは個人的な問題ではありません」
私は浩明の最近の業務記録をまとめて見せた。
「これが彼の最近3ヶ月の仕事ぶりです。ご覧ください」
鈴木部長は資料を受け取り、丁寧に目を通した。
浩明はこの3ヶ月、確かに調子が良くなく、ミスが多く、効率も悪かった。
特にここ1ヶ月は、ほぼ毎日遅刻し早退していた。
「それに今回のプロジェクト報告は、部門全体の重要な業務です」
「彼は私的な理由で完成させることができず、プロジェクト全体の進捗を遅らせました」
「職場で大声を出して騒ぎ、オフィスの秩序を乱しました」
「会社の規定に従えば、停職処分は妥当なものです」
鈴木部長は資料を見終わると、しばらく黙っていた。
「剛、君の言うとおりだ」
「考えすぎていたようだ。君の対応には問題ない」
「ただ、もし彼が謝罪して自分の非を認めるなら、また一緒に仕事をすることも考えられるだろう」
私はうなずいたが、心の中では既に決めていた。
浩明は二度と戻ってこないだろう。
退社後、篠原晴香から電話がかかってきた。
「剛、浩明から会社のことを聞いたわ」
彼女の声は怒りに満ちていた。
「なぜ彼を解雇したの?」
「解雇じゃない、停職だ」
「それに違いがあるの?」
「もちろんある。停職は一時的で、解雇は永久的だ」
私は淡々と言った。
「でも彼がこのまま騒ぎ続けるなら、解雇もありえない話じゃない」
「桐山剛!あなたひどすぎる!」
「俺がひどい?」
私は冷笑した。
「晴香、張伟明に彼女がいることを覚えてる?」
電話の向こうが急に静かになった。
「どんな彼女?」