腕のカウントダウンを見下ろす——【生き延びれば帰還可能 00:45:12】。
あと四十五分か。
こんな危険な荒野で生き延びるには、千夜にくっつくしかないだろう。
顔を上げて、千夜を見る。「次、どこ行くんだ?」
「もちろん、異獣を狩って、晶核を集めるに決まってるじゃん。」千夜は当たり前のように答える。
異獣……あの野獣の呼び名はそうなのか。
「じゃあ、俺、ついてってもいい?」おそるおそる聞いてみる。
千夜は眉をひそめ、めっちゃ嫌そうな顔で俺をじろじろ見る。「キミみたいな普通人がついてきて何の役に立つわけ? 足手まといじゃん。」
俺、苦笑い。「普通人だからこそ、ついていくしかないんだよ。ここ、めっちゃ危ねえし。」
千夜は一瞬黙って、俺の価値を量るみたいな目つき。
俺、慌てて付け加える。「頼むよ! じゃないと、異獣に食われちまう!」
千夜はちょっと考えて、結局ため息をつく。「しょうがない、いいよ。ただし、キミ、働いてもらうからね。」
「働く?」俺、ポカンとする。
「そう。」
千夜はそれ以上説明せず、忍者刀をスッと抜いて、夜爪獣の前足をザクザク切り落とす。
「この爪、銀貨数枚で売れるんだよね。私一人なら、こんなの集めるの面倒だからさ。」千夜、俺を見上げて、当然って顔で言う。「キミ、ついてくるなら、戦利品運ぶの手伝えよ。」
俺、口をパクパクさせて、地面の血まみれの獣の爪を見る。なんか嫌な予感するけど、結局うなずく。「わ、わかった……」
千夜、俺をチラ見して、俺が袋持ってないのに気づく。で、しゃがんで、利爪獣の死体からスルッと完璧な獣皮を剥ぎ取る。匕首でサクサク切り込み入れて、即席の袋をちゃちゃっと作る。で、爪をポイポイ放り込んで、俺に渡す。
「しっかり持てよ。なくすなよ。」
俺、袋を受け取る。まだ乾いてない血の跡がベタベタで、めっちゃ血腥い匂いがプンプン。眉をひそめて、つい袋をちょっと遠ざける。
「行くよ。置いてかれないようにね。」
千夜、軽やかに岩の上に飛び乗って、周りをキョロキョロ。方向を確認すると、迷わず密林の奥へズンズン進む。
「お、おい、待ってくれって!」俺、慌てて追いかけるけど、数歩走っただけで、千夜のスピードに全然ついていけない。胸がゼーハーして、息切れしながら叫ぶ。「おい! 速すぎだろ!」
千夜、振り返って俺をチラ見。眉をちょっと上げて、めっちゃ面倒くさそうな顔。けど、結局足を緩める。「……めんどくさいね。」
「ハハ……悪いな……」俺、気まずく笑って、呼吸を整えながら必死でついていく。
夜風がひんやりして、草むらがそよそよ揺れる。
——その時、千夜の足がピタッと止まる。
彼女、首を少し傾けて、指を一本立てて、「静かに」と合図。
千夜の視線を追うと、遠くの岩のそばで、でっかい生き物が何かの死体をガジガジ食ってる。
でっかいアルマジロみたいで、全身が暗灰色の鱗甲で覆われて、背中がボコッと盛り上がって、四肢がゴツい。
千夜、目を細めて、低い声。「鉄鱗獣……防御力バッチリのやつ。」
「は? めっちゃ厄介そうじゃん……」俺、ゴクリと唾を飲んで、小声で言う。
「その鱗甲、めっちゃ硬くて、刀や剣じゃ傷つけにくい。弱点は腹部だけど、簡単には晒さないよ。」千夜、低く言う。
俺、千夜の忍者刀をチラ見して、ためらう。「じゃあ、どうすんだ?」
千夜、俺の視線に気づいて、ニヤッと口角を上げる。「刀使わなくても、倒せるよ。」
「……マジで?」俺、思わず聞く。
千夜、唇の端をちょっと上げて、右手をゆっくり上げる。指先で青い電弧がピチピチ跳ねて、微かなパチパチ音。
——雷電!?
強化者って、こんな異能も持てるのか!?
俺、めっちゃビックリして、口開けようとした瞬間、千夜、深く息を吸って、シュッと加速! 疾風みたいに鉄鱗獣に迫る!
鉄鱗獣、異変に気づいて、ガッと顔を上げる。喉から低い唸り声を出して、攻撃しようとした——
「バン!」
千夜、瞬時に飛び込んで、足でガツンと頭を踏みつけ、地面にグイッと押しつける! 土煙がボワッと上がる! 次の瞬間、彼女の右手、青い雷光をビリビリ放ちながら、鉄鱗獣の硬い鱗甲にバチッと押し当てる!
「パチッ——!」
雷光、ドバッと流れ込んで、金属みたいな鱗を伝ってビュンビュン広がる! 青い電弧、筋肉の線に沿ってバチバチ炸裂、めっちゃ激しいパチパチ音!
鉄鱗獣、全身がガクッと震えて、四肢がピーンと固まり、筋肉がブルブル痙攣。口から低いクゥーンって声。
千夜、ちっちゃい体なのに、力すげえ! 鉄鱗獣の頭、ガッチリ押さえつけられて、ジタバタ動けず、ただその場でピクピク痙攣。
しばらくして、鉄鱗獣の抵抗が弱まって、結局四肢がダランと落ちて、ドサッと地面に倒れる。もうピクリとも動かない。
千夜、手をスッと引いて、指先にまだチリチリ電弧が残ってる。軽く手を振って、フンと鼻を鳴らす。「終わり。」
強すぎだろ!?
俺、ポカンと口開けて、慌てて駆け寄る。「すげえ! めっちゃ強いじゃん!」
千夜、フンと軽く笑って、口角がちょっと上がる。「こんなの、朝メシ前だよ。」
そう言うけど、俺、気づく。千夜の顔、ちょっと白くて、額に細かい汗。体が一瞬フラッと揺れて、なんか消耗した感じ。
やっぱ、雷電って、無限に使える技じゃないんだな。
「強化者って、みんな異能持ってるの?」俺、思わず聞く。
千夜、首振る。「ううん、ほとんどの人は持ってない。特殊な能力の晶核を吸収した人だけが、そいつの能力を得るんだ。私、雷霆狼の晶核吸収したから、雷電使えるの。」
そう言って、千夜、急に眉をひそめて、なんか怪しそうな目で俺をジロッと見る。「キミ、こんな基本的なこと知らないの? どこから来たんだよ、ほんと?」
「へへ、山奥から出てきたって言ったら、信じる?」
俺、頭かいて、わざとバカっぽい笑顔でごまかす。
千夜、俺を数秒ガン見して、ホントかよって顔。けど、結局口を尖らせて、「ま、キミのことはどうでもいいや。」
「じゃあ、晶核のこと、もっと教えてよ!」
千夜、俺をチラ見して、淡々と。「異獣のなかには、晶核が生まれるやつがいる。人間が吸収すると、その異獣の力を得て、強化者になれる。けど……初回吸収だと、だいたい一割くらいの力しか継げない。」
「初回吸収?」俺、ポイントつかむ。
千夜、ちゃんと説明。「そう。同じ種類の晶核を何度も吸収して、初めてその異獣の全部の力を継げるんだ。」
「なるほどな。」俺、アゴ撫でて考えて、目がキラッと光る。「じゃあ、いろんな異獣の晶核、数十種類吸収したら、いろんな力重ねて、スーパーマンみたいになれるじゃん?」
千夜、ポカンとした顔。「スーパーマン?」
「えっと……めっちゃ強くて、無敵の奴!」俺、慌てて説明。
千夜、首振る。「無理。一人につき、一種類の晶核しか吸収できない。他の種類、吸収しても効果ないよ。」
「そっか……」俺、もっと聞こうとしたけど、千夜、手を上げて止める。
「もう質問いいよ。早く仕事しないと、鉄鱗獣、目ぇ覚ますよ。」
俺、地面の鉄鱗獣見る。「目ぇ覚ます? 死んだんじゃねえの?」
「電撃で気絶させただけ。」千夜、しゃがんで、鉄鱗獣の前足をガシッとつかむ。グイッと力入れて、でっかい体をゴロンとひっくり返す。
むき出しの腹部、硬い鱗甲なくて、めっちゃ柔らかそう。
千夜、忍者刀抜いて、刀の先を心臓にピタッと合わせて、ズバッと刺す!
鉄鱗獣、体がビクッと震えて、四肢がピクピク痙攣。けど、すぐ動かなくなって、完全に死に沈む。
千夜、鉄鱗獣の腹にザーッと長い切り込み入れて、手慣れた感じで鱗甲をペリペリ剥がす。
「この鱗甲、50硬貨で売れる。防具作れるからね。」千夜、ポロッと言いながら、手は止まらない。
しばらくゴソゴソやって、完璧に鱗甲を剥がす。で、休まず、鉄鱗獣の額の皮をザクッと切り開く。肉と骨の真ん中に、ポコッとした窪み。
——けど、明らかに空っぽ。晶核、なし。
千夜、ため息。「やっぱりないか……」ちょっとガッカリした顔。
「晶核の生まれる確率、低いの?」俺、思わず聞く。
千夜、刀の血を拭きながら。「異獣によるけど、だいたい一割から三割くらいかな。」
俺、うなずいて、頭にメモる。
千夜、地面の鱗甲を指す。「それ、持って。」
鉄鱗獣、でかくて、剥がした鱗甲もめっちゃでかい。俺、丸めようとしたけど、利爪獣の皮袋にどうやっても入らない。
「入んねえよ……」俺、ちょっとボヤく。
千夜、俺をチラ見。「じゃあ、羽織れよ。」
「羽織る?」俺、血まみれで腥臭い鱗甲見て、胃がムカムカ。
腕のカウントダウン見る——【生き延びれば帰還可能 00:24:39】。
あと24分か……我慢すっか。
俺、深呼吸して、ガマンして鱗甲を肩に羽織る。厚くて重くて、腥臭い。濡れた血が服に染みて、肌にベタッとくっつく。めっちゃ気持ち悪い。
「行くよ。グズグズすんな。」千夜、振り返らずに言う。ズンズン進む。
鱗甲、長すぎて地面にズルズル。歩くたびに重くて、なんか引っかかる。俺、必死で歩幅整えて、なんとか千夜のペースに合わせる。
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