蘇雨柔は風邪薬を煎じて飲みながら、白い顔を強張らせ怒りを込めていた。「蘇映雪め、私には敵わないわ!元香に言っておきなさい、絶対に王殿下からの贈り物を見つけるのよ。あんな高価なもの、映雪なんかに相応しくないわ!」
元若は承知し、すぐに伝言に向かった。
蘇映雪は朝起きると、中庭でカサカサと音がするのを聞いた。昨日来た者は勤勉なようで、早朝から掃除を始めていた。
芷蘭は朝食を作って持ってきた。不満そうな顔で言った。「元香はひどいわ。何にでも手を出し、どこにでも行きたがる。まさか私たちの倉庫にまで入ろうとするなんて」
映雪は粥を飲みながら淡々と笑った。「私たちの倉庫は空っぽよ。彼女が行きたければ好きにさせておきなさい」
「でも中には第九王殿下があなたに贈った上質な人参が三本もあるじゃありませんか!」芷蘭は非常に警戒していた。
これは映雪が持つ唯一の貴重品だった。芷蘭は映雪のために大切に守り、他人に渡さないようにしなければならなかった。
「倉庫の鍵を元香に渡して、彼女に倉庫を管理させなさい」映雪は言いつけた。
「お嬢様、元香は善良ではありません。どうして彼女に鍵を渡せますか?」芷蘭は非常に心配していた。
「彼女の本当の主人が彼女をよこしたのは、きっと目的があるはず。チャンスを与えなければ、どうやってしっぽを出させるの?」映雪は無表情だったが、その美しい顔はますます謀略に富み、才気に満ちているように見えた。
芷蘭はすぐに言われた通りにした。しかし映雪から教えられた言葉を覚えていて、元香を見つけたとき、わざと顔をこわばらせ、不承不承という様子で言った。「ほら、お嬢様があなたを信用して、倉庫を管理するよう言われたわ。もし何か物が足りなくなったり、なくなったりしたら、お嬢様は絶対に許さないわよ!」
元香の目に一瞬喜色が走った。「わかったわ、芷蘭姉さん。私はきちんと倉庫を見守るわ」
彼女は鍵を手に入れるとすぐに落霞苑に知らせ、雨柔は人参を全部持ってくるよう命じ、代わりの物を箱に詰め直すよう指示した。
テーブルの上にある光沢のある三本の人参を見て、雨柔は満足げな笑みを浮かべた。「王殿下が彼女に贈ったものだとしても何だというの?結局は私の手に落ちたじゃない」