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28% 夫が私と結婚していたのは、たった七秒間 / Chapter 7: 第7話:決別の朝

บท 7: 第7話:決別の朝

第7話:決別の朝

階下に降りると、怜が台所で食事の準備をしていた。

エプロンを着けた後ろ姿は、かつて結衣が憧れた理想の夫の姿そのものだった。だが今は、すべてが空虚に見える。

「おはよう、結衣」

怜が振り返り、甘い声で微笑みかけた。

「昨日のことは忘れよう。栄養士の件だが、全員残せばいいんだ」

結衣は無表情で怜を見つめた。

「蛇喰さんが連れて行った桜井さんも含めて?」

怜の手が止まった。皿を持つ指先が微かに震えている。

「それは……」

「あなたは桜井さんに『毎日食べるのは簡単だよ』と約束したのでしょう?」

結衣の声は氷のように冷たかった。

怜の顔が青ざめる。そして次の瞬間——

「いい加減にしろって言ってるだろ!」

怜が激昂した。結衣が二十年以上の付き合いで初めて聞く大声だった。

皿が手から滑り落ち、床で砕け散る。

結衣は何も言わず、玄関に向かった。

背後で食器の割れる音が続いている。

――

深夜に帰宅した結衣は、リビングのソファに魅音が座っているのを発見した。

「朽木社長は出張です。私は仕事で来ただけ」

魅音が慌てて弁解する。だが結衣は一言も発さず、二階へ上がっていった。

魅音の存在など、もはやどうでもよかった。

――

翌日の夕方、怜が帰宅した。

結衣が寝室にいると、魅音を伴って部屋に入ってきた。

「荷造りを手伝ってもらう」

怜の説明は簡潔だった。

魅音はクローゼットの中を物色するように眺めている。高級スーツや宝飾品に、露骨な欲望を浮かべていた。

「南の島へ数日出張する」

怜が結衣に告げる。

「来たければ一緒に来い」

その時、魅音がスーツケースに躓いた。

「危ない!」

怜は駆け寄り、魅音を抱き寄せるようにして支えた。

「怪我はないか?」

過剰な心配ぶり。結衣の目の前で繰り広げられる芝居だった。

「お二人で楽しんできてください」

結衣は淡々と告げた。

怜の表情が不機嫌に変わる。思惑が外れたのだ。

「行くぞ、魅音」

怜は魅音を連れて部屋を出ていった。

――

一人残された結衣は、薬を飲んで眠りについた。

夢の中で、若い頃の怜が現れた。

まだ自分だけを求めてくれていた頃の怜。優しい瞳で結衣を見つめ、「君だけだ」と囁いていた。

幸せな記憶の断片が、夢の中で蘇る。

やがて結衣は目を覚ました。

枕は涙で濡れていた。暗闇の中で結衣は目を開き、心の中で問いかけた。

——怜、あなたはまだこんな夢を見るのだろうか?


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