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บท 7: 7

会議は食事の時間になってようやく終わった。私は食堂カードを手に取って食事を取りに行こうとしたところ、高橋美羽に呼び止められた。

彼女は不安そうな表情で立っていた。

「伊藤部長、私は帰国したばかりで適当な仕事が見つからなくて、それで和也に頼んで手配してもらったんです。怒ってませんよね?」

私は冷ややかな目で美羽が可哀想な振りをしている様子を見つめたが、内心は何の動揺もなかった。

たった一晩の帰国で、もちろん適当な仕事なんて見つかるはずがない。地球は彼女の家の所有物じゃないのだから。

表面上は、私は相変わらず礼儀正しく対応した。

「田中社長のすることには必ず理由があります。彼がそうしたのなら、それなりの考えがあるのでしょう。」

「会社の人事の任免は、私のような小さな部長が口を挟める問題ではありません。」

言い終わると、私は背を向けて立ち去った。

背後から田中和也の少し不機嫌な声が聞こえてきた。

「伊藤詩織、戻ってきなさい。話があるんだ。」

彼は私の名前を呼び、伊藤部長とは呼ばなかった。明らかに公務ではなく私的な話をしたいようだったが、私は相手にする気はなかった。

振り返るつもりはなかったが、後ろから急ぎ足の音が聞こえてきた。和也が追いかけてくるつもりのようだった。

前方にはエレベーターがあり、足を速めれば彼を振り切れるかどうか考えていた。

そこへ、後ろから美羽の甘ったるい声が聞こえてきた。

「和也、こちらの食堂がどこにあるのか分からないわ。一緒に行ってくれない?」

私の足取りは十分速く、エレベーターのドアが開いたので、すぐに中に入った。

不愉快な光景を後にした。

エレベーターのドアが閉まる直前、和也がもう一度私の名前を呼ぶのが聞こえた気がした。

私は首を振った。今日は太陽が西から昇ったようだ。

長年、和也は会社では私のことを姓と役職でしか呼ばなかった。

今日は二度も私の名前を呼んだ。本当に珍しいことだ。


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