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บท 9: 9

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そして今の私は、すでに軍区を離れていた。

私は楽子の遺品を持って、あちこち旅をしていた。彼女にも、まだ見ることができなかった世界を見せてあげたかったのだ。

この日、空は灰色に曇り、雨雲が厚く一面に広がっていた。

私の気持ちも楽子を思うあまり、同じように暗くなり、もう二度と明るくなることはないように思えた。

楽子、この空はあまりにも暗すぎる。厚い雲の層を通して、パパはあなたの姿が見えない。

もし天国であなたがパパのことを覚えているなら、もっとパパの夢に来てくれないか?

本当に会いたいよ。

まるで私の心の声を聞いたかのように、黒い雲に覆われていた空が再び明るくなった。

遠くに虹が見えるような気がして、私が顔を上げると、思いがけない来客を目にした。

河野霞が無精ひげを生やして近づいてきた。目の下には隈ができ、どうやらずっと眠れていないようだった。

「松尾旭、楽子の死について...本当に申し訳ない。ずっと前から、あなたにも楽子にも申し訳ないことをしてきた」彼女の表情には深い罪悪感が満ちていた。

謝罪なんて何の役に立つ?謝罪で解決するなら、警察なんていらない。

私は彼女を皮肉っぽく見つめた。「今さらそんなことを言って何の意味がある?雨が降ってから傘を差す。子供が死んでから母親面をする。すべてが遅すぎる。あなたは帰って、あなたの大好きな義理の兄と姪っ子と仲良くしていればいい」

「楽子に関しては」私は冷たい口調で続けた。「あなたのような母親はいなかった」

「ごめんなさい、本当にごめんなさい。過去の私は人を見る目がなくて、こんな結果を招いてしまった。調べたんだけど、楽子が禁閉室で死んだのは、義兄たちが虫を入れたせいだったの。私のせいで、楽子が死ぬことになるなんて、本当に思ってもみなかった」霞は声を詰まらせながら答え、話しながら涙を流した。

私はただ皮肉に感じた。楽子は命という代償を払って、ようやく霞に後悔をもたらしたが、全く割に合わない。

彼女は続けて、義兄はすでに故意殺人の容疑で刑務所に入っていること、そして美咲は年齢が小さいため、現在は軍区の福祉施設で育てられていることを話した。


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