秘められた婚約、謎に満ちた夫

噂によれば、栄村家の次男は先天的な障害を抱え、その醜い容貌のために誰も嫁に来ない――彼女は多額の金で「買われた花嫁」として迎えられた。

結婚から2年、夫の顔すら知らない彼女は罠に嵌められ、実業界の天才・松尾彰人と一夜を共にしてしまう。自責と後悔に苛まれる彼女に対し、松尾は執拗に執着し、離婚を強く迫り続ける。

逃げれば追い、怯えれば嗜虐的に楽しむ――その残酷で執拗な追及。やがて彼女が知るのは、障害を抱える“夫”と松尾彰人が同一人物であるという衝撃の真実だった。

世間の視線、欺瞞、陰謀によってこの結婚は終焉を迎える。

それから四年後。松尾に瓜二つの小さな男の子が取引に現れる。
「おじさん、ママを追いかける人は海外まで行列ができてるよ。でも、お金さえあれば順番を繰り上げてあげられるんだよね」

その瞬間、彼は初めて「親泣かせ」の本当の意味を思い知る――。