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私は平行世界と現実世界に大した違いがないことに気づいた。
こちらにいるのは私と同じように死んで蘇った人たちばかりだ。
本当に変態的な超能力は越境できず、現実世界では国家によって厳重に管理されている。
ここはむしろ巨大な療養所のようなものだ。
政府はすべての異能者をこの特定の空間で養い、その代わりに、私たちも自分の異能力を使って政府のために働く必要がある。
ただ、私の異能力は実に役立たずだ。
そのため、私はこの異能力世界で最も暇な存在となった。
多くの良い友人ができ、みんなそれぞれに悲惨な過去を持っている。
いくつか趣味を見つけて、毎日気ままに楽しく過ごしている。
山田雄介が突然、私を失ってから高橋清一の人生が非常に悲惨になったと教えてくれた。
彼がその悲惨な経緯を詳しく話そうとした時、私は手を上げて遮った。
「すまない、彼の話には興味がないんだ。今は自分の人生を充実させることだけを考えたい」
雄介は微笑んで、無理強いはしなかった。
彼は手を振り、二枚のチケットを取り出した。「異能者には平行時空を越える特権があるんだ。年に一度だけ往復できるチャンスがある。もし元の世界にまだ興味があるなら、帰って見てくるといい」
私は彼の好意を断らなかった。結局のところ、元の世界には多くの家族や友人がいる。
高橋のためでなくても、帰って様子を見るべきだろう。