裏切ったよね？じゃあ叔父さまに嫁ぐね

五年前、高木詩織は婚約パーティーへ向かう途中で誘拐され、そのまま行方不明になった。
やっと戻ってきたとき、彼女は人々の好奇と噂にさらされ、「尻軽女」と陰口を叩かれるようになった。
婚約者は浮気ばかりしていたが、弟を守るために詩織は屈辱を飲み込み続けるしかなかった。だが思いがけず、彼女は婚約者の冷徹な叔父と関わることになってしまう。

再会のとき、詩織は唇を噛みしめて警告した。
「……あのことは、なかったことにしましょう」

男は鼻で笑い、嘲るように言った。
「俺が一度触れただけで、お前が離れられなくなるとでも？その自信はどこから来るんだ」

けれど間もなく――ある雨の夜、絶大な権力を誇る加藤家の凛様が、一人の女性を壁に押し付けている姿を誰かが目撃する。
彼の目は赤く滲み、声は必死だった。
「……もう抑えられない。捨てないでくれ、頼む」