Bölüm 5: 第５話
女神ヘルスティアによって、半ば強制的にこの世界、ヘルスティアに転生し
奴隷商人の一人息子、ガーク＝オーウェルとして生きて行くことになった、青木学
しかし、裕福な家に生まれたにも関わらず、ガークに転生する少し前に当主である父親は病で亡くなり、その上ギャンブルで作った借金のせいで家財のみならず、商品であるはずの数百名いた奴隷も借金の片に取り上げられた
借金取りに喰ってかかった際に、大勢の用心棒にボコボコにされた影響で意識不明の昏睡状態になったガーク
どうやら、その際にこの世界のガークは命を失ってしまった様だ
「・・・なぁ、リリィ・・・その、以前の俺って・・どんな感じだった？」
自分でもおかしな質問をしてる事は自覚している
「そ、その・・・ガーク様は勇猛果敢にして知的、沈着冷静な紳士で・・・」
そう口にしながらもリリィの眼は泳いでいた
「いや、正直に言ってくれ・・・いや、これは命令だ、リリィ以前お俺についてお前の印象を素直に言ってくれ」
「・・・・解りました」
俺の命令というワードに反応し、一瞬だが身体を震わすリリィは、努めて冷静な表情になりガーク＝オーウェルの人となりを話してくれた
リリィが言うには、ガーク＝オーウェルという男は大奴隷商人の一人息子というだけあって、その性格は尊大にして狡猾
以前は、奴隷たるリリィ以外にも執事や使用人が何人か付いていたが、いずれも半月も持たずガークの元を去って行ったらしい
辞めていった者は。ガークの理不尽きわまる命令や暴言に耐え切れず、ガークに反抗し罵声を吐いて出て行ったり、腹いせに金品を奪って逃げたりした
そんな者達によりガークの心は更に荒む・・・そんなガークに辛抱強く従い傍に仕えたのが唯一残った奴隷リリィだったらしい
何故リリィはガークを見放さなかったのか？と尋ねると
「ガーク様は、この邪神の呪いの痕を見ても、私を忌避し遠ざけたりされませんでした・・・忌み子の私にとってはそれだけでも十分に救われた気持ちに御座いました」
そう嬉しそうに、はじかんで笑っていた
人から忌み嫌われていたリリィはある意味ガークと似ていたのかも知れない・・・まぁ今となっては真意は解らないが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「そうか・・・言いずらかっただろう・・・有難うリリィ」
リリィは何も言わず黙って頭を下げる
・・・・・その夜
「まず、俺の考えた作戦だが・・・と言っても出来る事はたかが知れてる」
相手の戦力分析だが、自宅であるオーウェルの屋敷を見る限り、１Ｆには２０以上の部屋が有った・・・
これは、人々から忌み嫌われ恨まれたり、金品目的の盗賊等から身を守る為の防犯として、常に用心棒の様な連中を囲っていたと、見るべきなのだろう
そして、これはオーウエル家だけの事では無くブエル商会も同じと考えるべきだ
つまり、当主で有るブエルを締め上げ隷属の紋章を破棄させる為には、囲われてる用心棒達を突破する必要が有る
「ガーク様には何かお考えが？」
「あぁ・・・・アレだ」
〇ブエル商会・・・別邸、ブエル家屋敷
「おい、そこのロバ馬車止まれ」
屋敷の入り口で検閲を受ける、フードを被った商人
「荷物は、奴隷の食料である干し肉とパンに御座います」
荷台には大きめの木箱が２ケース程積み込まれている
「それは今から確認する」
検閲を行っている、鎧を着こんだ兵士風の用心棒は、木箱を剣の柄でコツコツと叩く
そしてチラリとフードの商人の方に視線を向けると
「うぉーりゃぁぁ！」
検閲をした用心棒は柄から剣を抜くと木箱に突き刺した
「こっちもぉぉ！」
そして、もう片方の箱にも剣を突き刺す
「・・・気は済みましたか？」
「ちっ・・・・通っていいぞ」
守衛の用心棒はフードの商人の反応がつまらなかったのか、唾を吐き捨て通行を許可した
ロバ馬車は、ゆっくりと進みながら馬車の停車スペースと停まった
フードの商人はロバの轡を馬停めに繋ぎ、馬車から木箱を降ろす
「・・・・ガーク様、ご無事ですか・・・」
荷台に乗ってる木箱に手を掛け、フードを下げ美しい金髪を見せたリリィは周囲に聞こえない程度の声量で木箱に向ってそう呟く
「よっ・・・と、いててて・・・」
荷台の下から顔を出したのは、ガークだった
ガークは木箱の中では無く荷台の下に隠れ潜んでいた
「荷物を降ろす場所の有る、あちらが恐らく奴隷部屋へと続く入り口かと」
良く見ると、既にいくつかの木箱やずた袋が、搬入されていた
俺は入り口の中を確認し、音を立てずに中へと侵入する
「意外と無防備なんだな・・・あまりにも簡単すぎじゃないか？」
「自分や家族の身より、奴隷を守るなんて思考は異端です、例え奴隷を連れ去ったとしても。隷属の紋章の主従解除は主本人か、その本人が死亡しない限りは書き換え出来ませんので、他人の隷属紋章奴隷なんか何の価値も有りません」
「成程な・・・奴隷達も隷属の紋章が有効な間は逃げる事も出来ないし、他人が連れ去る事も出来ないつまり警備は不要と言う訳か」
腐敗匂のする薄暗い通路を進と・・・
「これは・・・・」
鉄格子の中に亜人女性達が半裸の状態で、十数名単位で狭い牢に押し込められていた
何れの女性達もその目に覇気は無く、生気の無い虚ろな表情だった
「君た・・・「ガーク様、今は彼女等にかまってる暇は有りません、それに今ここから救い出してもどうにもなりません」・・だ、だが・・」
俺達の姿を横目で見るも、直ぐに地面に視線を戻す
「くっ・・・・解った先を急ごうリリィ」
牢のある場所から奥に進んで行くと、上にのぼる狭い階段が見える
「ここからは警戒が必要だ、リリィは精霊魔法での援護を頼む・・・俺は・・・」
階段の入り口に立てかけられた、クワを手に取ると
「こんな物でも無いよりましか・・・」
両手でクワを手に持ち、リリィを背中に隠す様に階段をのぼる
木の扉を少しだけ開ける
「くそっ・・・やはり此処には詰めてるか・・・」
視界の先には、３名の用心棒が酒盛りをしていた
「・・・・ここはお任せを、ガーク様」
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