五度裏切った夫に、絶望を贈る

結婚三周年記念日。霜月（しもつき）雫（しずく）が目にしたのは、夫である神凪（かんなぎ）彰（あきら）が幼馴染の一条（いちじょう）美夜（みや）に膝まずき、指輪を差し出す光景だった。「罰ゲーム」だと笑う友人たち。だが、彰の本心を知る雫の心は冷えていく。そして、美夜が仕組んだ些細な事故をきっかけに、彰の怒りは頂点に。雫は妊娠中にもかかわらず、夫の手で階段から突き落とされ、出血しながら一人見捨てられてしまう。

病院のベッドで告げられたのは、お腹の小さな命が失われたという残酷な事実。彰は美夜の看病を優先し、雫のもとには一度も現れなかった。

数日後、何も知らずに帰宅した彰は、雫をこう罵る。「妊娠四、五ヶ月にもなるのに、ふらふらするな」。雫は、凍てついた瞳で静かに告げた。

「妊娠三ヶ月未満だった。過去形」

約束の「五回のチャンス」は、これで尽きた。七年間の愛が完全に潰えた日、雫は一枚の書類を手に、冷酷な夫への最後の通告を開始する。これは、すべてを奪われた妻による、静かで壮絶な復讐の始まりだった。