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「なんだって?輝明が白血病?」
メッセージを開く。
白血病という三文字を見た瞬間、家族全員が雷に打たれたようになった。
義弟の妻は震える手で医者に電話をかけた。
「先生、間違いじゃないですか!私の孫はこんなに健康なのに、どうして白血病なんかになるはずがありません!」
義父が最初に信じられず、電話を奪った。
「そうですよ、先生、絶対に間違っています。病気になったのは私の孫娘のはずです!もう一度検査し直しましょう!」義母も言った。
医者の権威ある声が電話から聞こえてきた。
「検査結果に間違いはありません。林田輝明さんは重度の白血病を患っており、状況は非常に深刻です!」
信じられない家族一同は、子供を連れて急いで病院へ再検査に行った。
しかし再検査の結果は家族を完全に呆然とさせた。やはり白血病だった!
現実を受け入れられず、怒り狂った義父母は医者に詰め寄って文句を言おうとした。
結果、警備員に両脇を抱えられ、非常に見苦しい姿で追い出された。
案の定、二日後に家族のグループチャットが炎上した。
輝明が白血病と確定診断されたのだ!
義父母の家族はようやく現実に気づき、私に電話をかけてきた。
電話に出るなり、向こうから焦りと怒りに満ちた罵声が私の鼓膜を震わせた。
「佐藤拓也、お前はなんて悪意に満ちているんだ?わざとだろう!責任逃れのために、私たちを怒らせて、娘を連れてこの家から逃げ出そうとしているんだな。」
「人命救助という重大な問題で、よくも私たちを騙せたな?何の権利があって輝明を救わないんだ?お前は小人の心を持っている、本当に恥知らずだ!」
美咲も激怒していて、電話越しでも彼女の怒りの叫びが伝わってきた。
「あなた、輝明がどれだけ苦しんでいるか分かってる?もっと早く治療を受けさせて、晴子に骨髄移植をさせていれば、彼はこんなに七、八キロも痩せることはなかったのよ。あなたのやったことで良心が痛まないの?」
私は冷ややかに鼻を鳴らした。「甥が数キロ痩せただけでそんなに心配するなんて、さすが弟思いの姉だね!」
言い終わるとすぐに電話を切り、ブロックした。
この時点で彼らは、晴子が家族の中で唯一骨髄が適合する人間だということに全く気づいておらず、他の骨髄が必ず見つかると思い込んでいた。