転生後、元夫が憧れた「白き月明かり」になっていた

前世、私はただの引き立て役、坂本彰の真実の愛を際立たせるための、使い捨てのかませ犬に過ぎなかった。挙げ句、全てを失う無残な最期を迎えた。

生まれ変わった今、私は悟った。どうにかなれ、と投げやりになるのが一番楽だと。だから、ただ黙って、彼から離婚を切り出されるその日を待つつもりだった。

しかし、なぜか状況は奇妙な方向へ進んでいく。前世では月に一度も帰らなかった男が、なぜか三日に一度は顔を見せるようになり、私が浮気するんじゃないかと疑っているというのか？

「信じてもらえないかもしれないけど、近い将来、あなたは私が消えてくれればいいと願うようになるわ」
「夢を見るな」彼は冷たく言い放った。「俺たちは死ぬまで、互いを縛り合う運命だ」

私はこっそりため息をついた。転生者の私にはわかっている。坂本の運命の人は、もうすぐ現れるはずなのだから。

そして、ついにその時は訪れた。彼と彼女が出会い、私に自由が訪れるその時のはずだった。

なのに、彼は静かに、しかし鋭く私に問い詰めてきた。
「誰が、別れるなんて言った？」

そればかりか、彼は私への執着をますます深め、運命の恋人でさえも蔑ろにし始めた。