章節 7: 庄司さん、お引き取りください
編輯: Pactera-novel
正臣は会議中、初めて集中力を欠いた。
頭の中で時々、少女がホテルの廊下で丸まっている光景がチラッと浮かび、さっき休憩室で彼女が何度かクシュンとくしゃみをしていたかを思い出した。
そんなことを考えると、なぜかやや焦燥感を覚えた。
正臣は突然立ち上がって、きっぱりと宣言した。「以上で会議を終わります。」
言い終わって、部下たちの驚愕の表情も見ようともせず、大股で外に出て行った。
会議室を出て、正臣は休憩室をチラッと見たけど、足はわざと反対の方へ向かった。
特別秘書の山田拓也がピッタリついて歩きながら、さりげなく言った。「社長、今日、佐伯さんが来てます。会議中だったんで、今……休憩室で待ってますよ。」
正臣はその言葉に、ピタッと足を止めた。
伊織が奈々と鉢合わせ？
奈々は口が達者で、絶対損しないタイプだけど、伊織はこの数年でますます傲慢で失礼になっていた
正臣はちょっと考えて、突然言った。「すぐに創立100周年の記念行事だが、企画部の準備はどのようになっているのか？」
山田はすぐピンと来て、「おおむね順調に進んでおります が、お時間が許せば、ご高覧いただければと存じます。」
企画部に行くには、休憩室の前を通らなければならない。
正臣はコクッと頷いて、休憩室の前を通るとき、足をゆっくりにした。
部屋の二人の会話が、一字一句ハッキリ耳に入ってきて、正臣の周りの空気が一気に氷点下まで下がった！
……
ゾクッとする冷気が襲ってきて、奈々は振り向くのも怖くなってしまった。
さっき得意げに喋ったことを思い出して、口を縫い付けたいくらいだった。なんでこんな余計なこと言っちゃったんだろ？！
背後の冷気がどんどん重くなって、心までガクガク震えちゃった。
奈々は大きく深呼吸して、ガチガチの首を、まるで石みたいにゆっくり回した。
正臣がドアの外に立って、迫力満点のオーラを放ってる。温度ゼロの視線は、まるで氷の刃が肌を突き刺して骨まで届くみたいで、奈々は周りの温度がスーッと下がるのを感じた！
奈々は怖くて一言も言えず、自分の言葉が全部バッチリ聞かれてたことを悟った。
奈々は拳をギュッと握って、相手の目を見れず、その場でオロオロして、今どうしよう？
心臓がドキドキバクバクしてたけど、すぐ思い直した。言ったのは本当のことだし、怖がることなんてないよね？！
だから何もなかったように装って、ニコッと笑顔を浮かべて、さっきのキツい口調じゃなく、甘く柔らかな声で言った。「会議終わった？お腹の調子は？あのね…」
「山田！」
冷たく孤高な気配と、抑えきれた怒りを帯びた低い声が、みんなをビクッと震わせた！
山田暁（やまだ あきら）は背筋がピキッと固まり、冷気が背中にゾクッと走るのを感じながら、プレッシャーに耐えて答えた。「はい！」
正臣は奈々をじっと見て、彼の周りの空気だけが、ひときわ冷たく澄み切って、肌を刺すような冷気を感じずにはいられなかった。一語一語ゆっくり言った。言葉にはギンギンの冷たさが滲んでた。「お前、認識に問題があるのではないか？いつから天翔グループの本社に、不審者がフラフラ していい場所になったんだ？！」
山田特別補佐は一瞬に言葉を失った。『……だって、奈々が社長のホテルの個室に入るのは許されてるのに、会社をブラブラするのはダメって何？』
でも、そんなこと山田が言えるわけないよね？
山田はすぐ背筋をピシッと伸ばして、「大変申し訳ございません。私のミスです。即刻善処いたします。」
そしてボディガード二人を呼んで、奈々の前にズイッと進んだ。「庄司さん、お引き取りください。」
奈々はもう正臣の態度にガクブルだった。
しかし正臣は、心底嫌気が差したようで、振り返らずに大股で立ち去っていった。
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