章節 4: 食人鬼
編輯: Pactera-novel
「好感度がどうして10も上がったのだろう？」パネルを見ながら、孟秋は頷いた。「まあ、彼女のために人を殺したのだから、理にかなっているか」
恩を知る妖女ちゃんだな。
孟秋はこの妖女についての記録を思い出した。
当時の自分は蛮荒古地に侵入し、妖獣の神秘的な功法を手に入れようとしていた。そして百花が属する騰蛇一族に目をつけたのだ。
騰蛇一族は火を操ることに長け、彼らの『騰蛇聖炎訣』は赤色の火系功法で、その炎は極めて高温の効果を持ち、法器や法宝さえも焼き尽くすことができる。
孟秋はこの功法のために、彼らの一族の聖女に近づいた。その聖女はぼんやりとしてバカっぽくて、騰蛇一族の凶暴さを持たず、孤立しているようだった。
そこで彼は積極的に彼女に接触した。
……
「君の目は実に美しいよ。君は僕が見た中で最も美しい異族の少女だよ」
「えっ？本当？でも父も母も私がぼんやりしていて、凶暴さが足りないって言うの」当時の幼かった百花はまだ純真で、目は雪のように輝いていた。
「どこがぼんやりしているんだい？それは優しさであり、純真そのものだ。僕はその純真さが好きなんだ」
「本当？ところであなた、どの種族の出身？」百花は彼女をここまで褒めてくれる人に会ったことがなかった。
「僕は人族だよ」孟秋は人の姿に戻り、彼女に微笑んだ。
「わあ！人族が…」
「しーっ」孟秋は急いで彼女の口を覆った。「これは僕と君だけの秘密だよ。ほら、これをあげる」彼は人間の市場でよく見かける玉石を取り出し、それを小さな蛇の形に彫刻した。
「なんて綺麗な石！」百花は喜んで受け取った。
「これは玉石と言って、伝説では女媧様が天を補修するために使った材料だよ」
「女媧様って、何？」
……
とにかく、当時人間と接触したことのないこの少女は、彼のいくつかの物語と玉石一個だけでまんまと騙され、好感度がかなり上がった。
今思い返してみると、孟秋は当時の彼女の純真な顔と翠玉のような瞳を思い出さずにはいられなくなった。月夜の下で彼の話を聞き、そして彼の腕の中で眠りについた姿を。
そう思うと、孟秋は首を振って笑い出した。興が乗ったので、彼は霊気を使って洞窟の石壁に当時のゲームシージーを描いてみた。
シンプルな線で描かれたのは次のような画面だ。満月の下、まだ完全に化形していない、体に鱗が残る少女が男性に寄りかかって眠っている光景だ。
もし彼女の好感度を取り戻せたら、こんな可愛い蛇妖ちゃんを連れて旅するのも、悪くない話かもしれない？
しかし現在の修為では、彼はまだ彼女に接触するのを躊躇っている。
後でまた方法を考えよう。
そう考えながら、孟秋は洞窟を出て、真っ暗な空を見上げた。星々が点在し、現在の位置を判断するのに十分だ。
来雲旅館は大炎国の北方の境界に位置し、さらに北に行くと、妖獣が住む小さな蛮荒の地になる。
現在の孟秋はちょうど蛮荒に入ったばかりの状態だ。
ここから遠くないところに、ちょうど短い奇遇があり、修為の報酬と『百毒解』という功法を手に入れることができる。あれは専ら毒を解くためのものだ。
せっかく来たのだから、ついでに見に行ってみよう。
それは短いサブストーリーでできた奇遇なので、危険度はそれほど高くない。まとめてみれば、食人鬼一族のことだ。彼らは幻を作り出して修士を騙し、信頼を得て、修士を彼らの村に誘い込み、霊果や霊泉などを飲ませて修士を操るのだ。
修士を騙せた後、まず彼らの体を操って仲間を村に誘い込ませ、それから徐々に彼らの修為を吸い取り、最後には彼らを養分として吸収し、食人鬼一族の小聖子に供える。
あの小聖子は実に良い宝物だ。あれだけの修士の修為を吸収しており、かなり大きな経験値の宝庫だ。
孟秋は通りかかるたびに、この経験値の宝庫を漁る事にする。
約一刻後、孟秋は空を見上げ、方向を確認した。その奇遇はすぐ近くにあるはずだ。
孟秋はゆっくりと地面に降り立った。ここは密林で、木々が鬱蒼と茂っている。地面に降りると、密林が星の光を遮り、周りを真っ暗にし、少し不気味な感じをもたらした。
地面に降り立つと、すぐに遠くから妖艶で魅力的な女性の声が聞こえてきた。「きゃっ！」
来た！孟秋は警戒しながら、慎重に声の方向に近づいていくと、目の前の光景を目にした。
練気修為ほどの狼妖の群れが美艶な女修を取り囲んでいる。その女修は赤い道袍を身にまとっていたが、今はすでにボロボロに引き裂かれ、あちこちが破れている。
梅紅の肚兜がちらちらと見え隠れし、腕や太もも、ふくらはぎなどが雪のように白い肌をさらした。
孟秋は一目見ただけで何が起きているのかわかった。食人鬼一族は自分のことをスケベだと判断し、それで自分を誘惑しようとしているのだ。
言っておくが、それは間違いではなかった。
非常に「偶然」にも、孟秋が到着した瞬間、狼の群れがちょうど女修に飛びかかろうとした。
女修は艶かしい声で言った。「道友、助けて！私は凌雲宗の弟子です。道友が手を貸してくれるなら、私はどんな要求にも応えます」
しかし、言葉が終わらないうちに、狂風が吹き荒れ、十数匹の狼はまだ女性に飛びかかる前に、この突風に吹き飛ばされ、地面で数回転がって木の幹にぶつかり、血を吐いた。
たった一つの法術で敵をなぎ倒せた？
孟秋は一瞬驚いたが、自分が今は風属性の天霊根であることを思い出した。風法術を使うと威力が強化されるわけだ。
しかしこれほど強化されるとは思わなかった。
この法術は単なる「大風術」だったが、今見ると、すでに「狂風術」ほどの威力に達している。
「ウォーン！」頭狼はよろよろと立ち上がり、畏怖の眼差しで孟秋を一瞥し、うなり声を上げると、振り返って逃げようとした。
「道友、追わないで！」美艶な女修が孟秋を制止しようとしたが、彼が全く追撃する意思がなく、直接自分の前に歩み寄るのを見かけた。
「ああ、安心して、追わないよ」孟秋は頷いた。
どうせ幻だから、追いつけないし、霊気を無駄に消費するだけだ。
美艶な女修は一瞬驚いたが、すぐに我に返り、艶かしく自分の道袍を引っ張った。この動作は逆に彼女をより魅惑的に見せた。
女修は拱手して言った。「私は蘇…」
「水に流れる木の葉のような出会いだ、名前を知る必要はない」
女修は一瞬驚き、また尋ねた。「あなたは…」
「僕は孟と申します」孟秋はいつものようにストーリーを飛ばそうとした。
「私は凌雲宗の弟子で、ここに…」
孟秋は先回りして答えた。「蘇道友はきっと凌雲宗の弟子で、近くの村に修行に来たのでしょう？今、狼の群れに遭遇し、村がどうなったか心配ですね。今はあなたが怪我をしていて対処できないので、僕が一緒に見に行きましょうか？」
蘇道友：「……」
全部私のセリフじゃん！
この瞬間、蘇道友は呆然とした。彼女は目の前の男をぼんやりと見つめ、どうして彼が自分が言おうとしていることを、こんなにも明確に知っているのだろうかと思った。
いったいどっちが騙し側なのよ？
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