章節 14: 第14章：あなたは悪魔ですか？！
通りの向かい側の人気のない路地で、寺島哲也は一団に取り囲まれていた。
「お前、俺たちのお嬢様を拒否するとは、命が惜しくないのか？」
「龍野さん、こいつと話して何になるんだ。まずはこのガキに人の道を教えてやって、それからお嬢様の元に連れて行こうぜ！」
哲也は中央に囲まれ、うつむいたまま前髪が両目を少し隠し、瞳の奥に冷たい光が走った。
「お前らのお嬢様なんて何様のつもり？私の人に手を出すなんて」
その声は優しく笑みを含んでいた。
全員が一斉に振り返ると、か弱そうな美少女が立っていた。
「お前は誰だ？」
「このガキは俺たちのお嬢様が気に入った男だ。小娘、余計な口出しはしない方がいいぞ」龍野は冷笑した。
「龍野さん、この子ちょっといいじゃないか！」一人の男が色目で岡本咲を見ながら近づき、手を伸ばした。
哲也はその男を見る目が一瞬で死人を見るかのように冷たくなり、全身から狂暴な気配が放たれた。まるで発狂した野獣のようだった。
しかし彼が動く前に、咲はその男を一瞬で背負い投げして地面に叩きつけ、さらに容赦なく指を踏みつけた。
「あぁっ！」指に突き刺すような痛みが走り、男は悲鳴を上げた。
この悲惨な声に他の男たちも見物していた表情を引き締め、一斉に咲に向かって集まってきた。
数分後、龍野たちは全員地面に倒れ、踏みつけられた指を押さえて悲鳴を上げていた。
咲は彼らを一瞥した。くず！
転生前、彼女は超一流の御曹司だった。たくさんのボディガードに囲まれていたが、家族は自己防衛能力を身につけさせるため、特殊部隊で1年以上訓練させたのだ。
当時は苦しみ、疲れ果て、可愛く振る舞って何とか逃げようとしたが、後になって武道の便利さを実感した。気に入らない相手には直接手を出せばいいのだから。
哲也は咲を見つめたまま少し呆然としていたが、彼女が近づくと、なだめられた野獣のように従順になり、清らかで優しい声で言った。「姉さん、大丈夫？」
咲はつま先立ちして彼の頭を撫で、優しく微笑んだ。「大丈夫よ。姉さんがあなたを守るから」
哲也は静かに咲を見つめ、瞳の奥で何かが揺れ動いていた。
そのとき、パトカーが到着し、警察官たちは路地に横たわって痛がる人々を見、そして立っている咲と哲也を見て少し驚いた。「誰が通報したんだ？」
咲は地面に倒れている人々を指さし、か弱そうに言った。「私です。彼らは喧嘩を売って、人を殴りました」
地面に横たわる一同：？！！！
くそっ！お前は悪魔か？！しかも警察を呼ぶとは！俺たちがお前らを殴った？誰が誰を殴ったか明らかだろ！
数人の警官も少し疑わしげだったが、か弱そうな咲と痩せている哲也を見て、確かに被害者らしいと思った。
地面に倒れているがっしりした男たちをよく見ると、表情が変わった。「おまえらか！拘置所から出たばかりでまた人に迷惑をかけているのか！」
咲は軽く舌打ちした。前科持ちか。
龍野たちは慌てて、咲を指さした。「違う、俺たちが地面に倒れているのが見えないのか？彼女が挑発して俺たちを殴ったんだ！」
数人の警官はか弱く保護欲を掻き立てる咲を一目見て、龍野を見る目がさらに軽蔑的になった。「この少女があなたたちを殴ったと言って、彼女を中傷するのか？」
あの少年が殴ったというならまだ少しは信じられたのだが。
龍野たち：「……」
「彼らがあなたたちを殴ったとしても、それは正当防衛だ」一人の警官が鋭く指摘した。
「そうです！証拠があります！」咲は頷き、スマホを取り出して録音を再生した。それは彼女が路地の入り口で聞いた会話だった。
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