そして私の情けない酒量のせいで、酔いつぶれてしまった。
翌日ベッドで目を覚ましたとき、私はまだ少し戸惑っていた。
酔っ払っていても、ベッドまで這い上がれるものなのだと思った。
親切に諭してくれた店主に別れを告げようと思ったのだが。
どこを探しても店主も下男も見つからなかった。
仕方なく、自分で馬を引いて出発することにした。
その後の二日間、道中の風景や文化を眺めながら。
心の中の恐れも、徐々に落ち着いていった。
盗賊や危険な野獣にも遭遇することはなかった。
「人の心が広くなれば。」
「世界も美しく見えてくるものだ。」
血の病さえも和らいできて、もう少し長く生きられるかもしれない。
馬に乗りながら、独り言を言い始めた。
「くすっ。」
誰かが忍び笑いをしている。
左右を見回してみた。
この官道には私と馬しかいない。
他に誰もいないはずなのに。
「真昼間に幽霊が出るはずがないよね!」
自分の考えに驚いて、馬の腹を蹴った。
「閃電、走れ!」
「ゆっくり走って、見失ったら誰があなたを守るの?」
藤原悠佑は数回跳躍して私の後ろに着地した。
私の腰に手を回し、一緒に馬に乗った。
「また、あなたなの!」
「うるさい人!」
藤原悠佑は腕に力を入れ、私の背中は否応なく彼の胸に押し付けられた。
「郡主様、私が途中ずっと守っていなかったら。」
「何度死んでいたか分からないでしょう。」
「余計なお世話よ!早く死のうが遅く死のうが死ぬことには変わりないわ!」
「月華!恩知らずにならないで。」
「どこの良家のお嬢様が死ぬだの死ぬだのと口にするものか。」
藤原悠佑が私の別れの旅に横やりを入れたせいで。
二人で言い争いながらの道中となり、少しも素敵なものではなくなった。
「藤原悠佑、日が暮れる前に次の村に着けなければ、野宿することになるわよ。」