私は屋敷で静かに二日を過ごしていたところ、藤原修が待ちきれずに訪ねてきた。
貴客がいるため、父は特別に私を奥から出してくれた。
「この数日、なぜ私を訪ねてこなかったのだ?」
私は緊張して袖を掴み、苦い表情を浮かべた。
「父に謹慎を命じられて、連絡する術がありませんでした」
藤原修の険しい眉が緩んだ。私は父の寵愛を受けていないものの、戸部侍郎の娘である。
大蔵省は朝廷の財政を握っており、戸部侍郎である父は、そこから利益を得ることができる。
そして藤原修が必要としているのは、まさにそれだった。
藤原修は私の手を軽く叩いた。
「今から伯父上に話してくる。半月後には姫宮様のお花見に参加しなければならないのだから」
私は唇を噛み、寂しげな目をして首を振った。
「やはり私は行きません。そうでなければ、父は私を嫌うでしょう」
「ですが、姫宮様への贈り物はもうすぐ完成します。その時は雪乃ちゃんに持って行かせます」
藤原修の目が輝き、頷いた。
彼は皇太子ではあるが、結局は天皇に嫌われている身。
宮中では人によって態度を変える者ばかりで、彼の生活が良いはずがない。
この数年、私が多くの銀両を使って彼の世話をし、人材を集めなければ、彼は今の地位まで上り詰めることはできなかっただろう。
「よし、では和子は屋敷でゆっくり休むがいい。暇を見つけてまた会いに来よう」
私は恥ずかしそうに頷き、藤原修を見送った。
藤原修が去るや否や、私はすぐに奥へと向かった。
奥には下男も下女も多くはいない。父が清廉潔白であることを示すためだ。
家の品々も安価なものばかりで、下男下女も少ない。
假山に隠れていると、案の定、藤原修と柳田雪乃が密着している様子が見えた。
柳田雪乃は情熱的な眼差しで藤原修を見つめていた。
「ご安心ください。鈴木和香は必ずあなたを帝位に就かせるために全力を尽くすでしょう」
「そうすれば、私たちは成果を享受するだけでいい」
私はこの言葉を聞いて、大いに驚いた。柳田雪乃はどうしてこのことを知っているのだろう?