姫宮様の宴会で事件が起きた。しかし、今回は三皇子ではなかった。
今の皇后が生んだ姫君と、皇后の実家の甥が事件を起こしたのだ。
二人は衆人環視の中、死を賜るか、それとも婚姻を賜るかの選択を迫られた。
私は隣にいる三皇子の顔を見て、好奇心に満ちた表情を浮かべた。
【あなたの仕業ですね。】
三皇子は清風明月のように微笑んだ。
【来るものには報いなければなりませんから。】
普通の人なら、姫君は天皇の実子なのだから、
その甥も皇后の実家の者で、親族同士の縁結びは良い兆しだと思うだろう。
しかし今上陛下はそうは考えなかった。外戚が権力を握ることを警戒し、特に皇后の実家が名門の桜井氏であることは、今上陛下の逆鱗に触れた。
そのため、宴会の後、姫君は重病で亡くなり、甥も重病で命を落とした。
皇后の実家の者たちも、この数日、朝廷で度々叱責を受けている。
皇后の実家のために発言する者は誰もが、天皇から叱責を受けた。
藤原修も例外ではなかった。
藤原修は皇后と親しくなりたがっていた。皇后には子がなく、その実家の桜井氏は名門で名声が高かったからだ。
だから今、桜井氏が窮地に陥っているときこそ、藤原修は手を差し伸べようとした。
しかし、自身も泥仏が川を渡るような状態で、このような行動を取るのは笑い話のようなものだった。
朝廷での出来事は、三皇子が私に教えてくれたことだ。
三皇子が私をこれほど信頼する理由は分からないが、利用できるならそれでいい。
皇后一派に取り入るため、藤原修は何度も私に銀両を要求してきた。
しかし私は父に監禁されていることを口実に、藤原修に対して困窮を訴え続けた。
おそらく私にうんざりしたのだろう、藤原修はもう手紙を寄越さなくなった。
私もそれで清々した。
【お前は私を助けられると言ったが、今や私は朝廷で身動きが取れない。どうすればいいと思う?】
三皇子が私の隣に座っていて、顔を上げれば月が見えた。
前世では、今上陛下の死に私は関与しなかった。だから予期せぬことがなければ、今上陛下の死因は前世と同じはずだ。
【今上陛下は疑い深いお方です。三皇子様は辺境で修練なさるのが最善かと。】
三皇子は頷いた。
【私もそう考えていた。ただし、この別れは何年にも及ぶかもしれない。鈴木お嬢が主君を変えないことを願う。】