田舎娘、拾った大物にバレちゃいました

田舎娘から小林グループの社長にまで上り詰めた大塚美咲。
働きづめで三十八歳にして過労死した彼女は、死の間際に、あのダメ夫が自分を裏切り、外に隠し子までいたことを知る。
――そして目を覚ますと、十八歳の頃に戻っていた。
男尊女卑が染みついた祖父母、素直だが親に逆らえない父、気が弱くても子供思いの母、冷たくしてきたのに変わらず慕ってくれる弟。
今度こそ美咲は、この家族を救う。
搾取しかしない親戚たちとは縁を切り、弟の未来を守り、あのダメ男とは二度と関わらず、自分の人生をやり直すと決めた。
ところが――今回は「ダメ夫」の代わりに、もっととんでもない相手を拾ってしまったらしい。
ダメ夫（元）：「美咲、お前の旦那は田舎者で大学も出てない。そんなのといて幸せになれるか？」
その瞬間、一台のベンツが美咲の前に止まり、運転手が恭しく頭を下げる。
「奥さま、旦那さまがお待ちです。どうぞお帰りを」
「えっ、あのナンバー……山口家の車じゃない！？」
「山口家の当主の車！？今奥さまって言った！？」
――山口家の当主が、田舎者？
冗談でしょ！？

＊

帝都・財閥二世の社交サークル。
「聞いたか？貴之さんが田舎娘を連れてきたって？」
「しかも奥さんって紹介してたらしいぜ？マジウケる！」
執事：「旦那さま、奥さまがお帰りになりました」
若様A：「京大首席の才女、大塚美咲？」
若様B：「株式界の伝説、Hope様？！」
若様C：「……お義母さま」
山口貴之：「紹介しよう。俺の妻――大塚美咲だ」