私はお母さんの上司の愛人になりました
作者: ルイ© WebNovel
章節 1: 第1章
私は死んだ。
小説のように、死後に冥府へ行き、転生するものだと思っていた。
しかし、そうではなかった。
長い間待ったが、いわゆる冥府の使いは迎えに来なかった。
お母さんと妹が恋しい。彼女たちに会いに戻りたい。
家に舞い戻ると、家の様子は変わっていなかった。
お母さんと妹はテーブルで黙って食事をしていた。
「お母さん、あの人まだ帰って来ないの？」
妹は俯いたまま、お母さんに尋ねた。
それを聞いたお母さんは激怒した。
「あの子のことは言うな。あんな娘は私の子じゃない。人の愛人になるなんて、風紀を乱すもの以外の何物でもない」
「二度と帰って来なければいい。外で死んでくれた方がいい」
お母さんは私を憎んでいる。私が外で死ぬことさえ望んでいる。
私がお母さんの社長の愛人になったからだ。
お母さんの社長は篠原健司といい、この辺りでは名の知れた善人で、町の孤児や老人によく寄付をしていた。
父が亡くなった後、お母さんは一人で私たち二人の子供を育て、プレッシャーが大きかった。
あの頃、お母さんは毎日三つの仕事をかけ持ちして私と妹を養い、朝早くから夜遅くまで働いていた。でも、どんなに忙しくても、お母さんは私たちをとても大切にしてくれていた。
私たちが最も困っていた時に、篠原健司が助けてくれた。
彼はお母さんに自分の店で仕事を与え、私の学費を援助し、誰も妹の面倒を見られない時には自ら進んで妹の世話をしてくれた。
私は彼に感謝し、必ず恩返しをすると心に決めていた。
あの日、早めに家に帰ると、篠原健司が妹の寝ている隙に裸の写真を撮っているところを目撃した。
このクズ！よくもそんなことを！
私は狂ったように飛びかかり、篠原健司を突き飛ばして、カメラを奪おうとした。
でも私は小さすぎて、成人男性に勝てるはずもなかった。
「この生意気な娘め、けっこう力があるな。どうした？妹の代わりに遊んでみるか？」
私は妹を傷つけたくなかった。お母さんに妹を守ると約束したのだ。
助けを呼びたかったが、幼い妹を起こして彼の魔の手に落とすのが怖かった。
篠原健司のねっとりとした視線が私の体を這い回り、一瞬にして絶望が私を包み込んだ。
逃げられないことは分かっていた。でも妹はまだ小さい。彼女を傷つけたくなかった。
涙でいっぱいの顔を上げて、私は言った。
「別の部屋に行きましょう」
終わった後、私の体は傷だらけで、目の奥は空虚な絶望に満ちていた。
篠原健司はベッドの脇に立ち、タバコを吸いながら言った。
「私が出て行った後で警察に通報しようなどと考えるな。この町で数十年の評判がある、俺、篠原健司が善人だということを知らない者はいない」
「お前みたいな小娘の言うことを誰が信じると思っているんだ」
「忘れるな、お前の母親は今でも私の店で働いているし、お前の家の鍵も持っている。もし誰かに知られたら、お前の母親と妹は…自分でよく考えろ」
私は篠原健司に妹の写真を消すよう要求したが、彼はこう言った。
「安心しろ、必ず消すさ、お前が言うことを聞いていればな」
実は私はあの日の屈辱をほとんど忘れかけている。唯一覚えているのは…
幸い、妹は無事だった。
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