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章節 2: 2

心の中でようやく収まった怒りが、再び燃え上がった。

相手はすぐに携帯を手で覆い、電話を切った。

余計な感情を振り払い、服を着替えて家を出た。

本番は三日後だ。今すぐ焦る必要はない。

彼女の友人が送ってきた住所にすぐに到着し、個室の入り口に着いた瞬間、中から笑い声交じりの質問が聞こえてきた。

「江口、柳田青葉はあと三日で結婚するんだよ。今なら後悔してもまだ間に合うよ!」

深呼吸をして、ドアを押し開けて中に入った。

中の笑い声は一瞬で止まり、皆の顔に困惑の色が浮かんだ。

三日後に私と結婚するはずの女性が、ある男性の腕の中で優しい表情を浮かべて横たわっていた。

その男の顔は、さっき彼女のパソコンで何度も見たものだった。

彼こそが江口輝だった。

個室には五、六人の女性がいて、男性は彼一人だけだった。

スーツにネクタイ、金縁の眼鏡をかけ、成功者の風格を漂わせていた。

だが彼は動画で見るよりも、さらに年上に見えた。

それなのに青葉は宝物でも扱うように、彼をしっかりと抱きしめ、酔っ払っていても手放そうとしなかった。

スーツに眼鏡、そんなスタイルは以前私も試したことがあったが、青葉は「古臭すぎる、ネットで変なものを真似しないで」と言っていた。

今思えば、彼女が嫌いだったのは私の服装ではなく、単純に私自身が好きではなかったのだ。

青葉の友人は私がこんなに早く来るとは思っていなかったようで、慌てて彼女を輝の体から引き離そうとした。

しかし青葉はかなり飲んでいたようで、まったく動こうとしなかった。

口から不明瞭な言葉が漏れる。「うるさい!触るな!」

彼女がこんなに酔っ払っているのを見たのは初めてだった。

友人が彼女の耳元で囁いた。「渡辺辰哉が迎えに来たよ!しっかりして!もうすぐ結婚するんだから…」

他の人たちも状況を見て手伝いに来た。次第に混乱する場面を見ながら、私はテーブルの上のグラスを取り、微笑みながら口を開いた。

「僕がやります」

そして、周りの人々の驚いた視線の中、私は真っ直ぐに青葉に向かって歩いた。

彼女の手を掴み、乱暴に輝の体から引き離した。

「痛いわよ!」

青葉が暴れ始めたその瞬間、私の手の中のお酒は既に彼女の顔にかかっていた。

私は彼女の顔に近づき、一言一言はっきりと言った。

「目が覚めたか?忘れたのか、お前の婚約者は俺だ」


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