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章節 3: 3

私の行動は、その場にいた全員を一瞬で驚かせた。柳田青葉の酔いも少し覚めたようで、私を見る目にはちらつきがあった。

「わ、渡辺辰哉、来てくれたのね……私、飲みすぎちゃって……」

青葉はすぐに私に抱きついて、全身を預けてきた。

すごいな、酔っていても演技を忘れないとは。

なら私も協力しないとね?

私はかつての温厚で穏やか、害のない姿に戻った。

彼女を抱きかかえて立ち上がり、周りの人たちに軽く謝意を示した。

「すみません、妻が飲みすぎてしまって、ご迷惑をおかけしました」

彼女の友人はようやく安心したように私に紹介してきた。

「渡辺さん、この方は大学の先輩で、私たちにとても良くしてくれる人なんです。今日は出張から戻ってきて、ちょうど私たちの集まりに合流したんです。青葉は飲みすぎただけだから、誤解しないでください……」

以前の私なら、おそらくその場で発狂して、この「先輩」を日常生活もままならないほど殴りつけていただろう。

でも今の私は、ただ何でもないように笑うだけだ。

傍らで江口輝が私を見る目には、面白がるような探るような色があった。

私は彼に礼儀正しく微笑みかけた。

「先輩、こんにちは。この数年、海外で苦労されたんですね。ビデオで見るよりもさらに風格が増されていますね」

一言言い終えると、個室内は完全に静まり返った。

皆、様々な表情で顔を見合わせていた。

輝は気にする様子もなく笑って、テーブルの上のフルーツ皿に手を伸ばした。

すると、さっきまで私にしがみついていた青葉が突然顔を上げて叫んだ。

「あなたマンゴーアレルギーだから、食べられないわ!」

輝の伸ばした手が宙に止まり、彼女の真剣な表情を見て可笑しそうに笑った。

優しい声で言った。「君は十年前と同じだね、お馬鹿さん。これはスイカだよ、君は酔っているんだ」

その瞬間、私の頭の中で何かが轟然と爆発したような気がした。

私は魚介類アレルギーなのに、彼女がデートで選ぶのはいつも海鮮レストランだった。

そして毎回私にこう言うのだ。

「私、海鮮が好きなの。あなた、私に合わせてくれないの?」

そうか、彼女はわがままなお姫様ではなく、ただ優しさを他人のために取っておいただけなんだ。

私は無表情で彼女を抱えて外に出た。階下でタクシーを呼ぼうとしたとき、輝が追いかけてきた。


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