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23.07% 補聴器を踏み砕かれ、全てを失った私 / Chapter 6: 第6話:屈辱の代償

章節 6: 第6話:屈辱の代償

第6話:屈辱の代償

雫の心臓が激しく打った。

蓮の言葉が、まるで氷の刃のように胸を貫く。「好きにすればいい」——その一言で、雫は完全に他人の手に委ねられた。

男が雫の前に立った。

「肩もみで百万円」男がにやりと笑った。「でも、膝をついてやってくれるなら、さらに百万円追加してやる」

二百万円。

雫の脳裏に、手術費の数字が浮かんだ。六百万円のうち、三分の一。

「さらに」男が続けた。「俺の足元に膝をついて頭を下げるなら、もう二十万円やる」

二百二十万円。

雫の唇が震えた。屈辱的な提案だった。しかし——

治療費のためなら。

雫は迷わず膝をついた。

部屋が静まり返った。誰もが息を呑んで、雫の姿を見つめている。

「お願いします」雫が頭を下げた。「マッサージをさせてください」

男の顔に、勝利の笑みが浮かんだ。

「いいねえ。金のためなら何でもするんだな」

男が椅子に座り、雫の前に足を伸ばした。雫は膝をついたまま、男の肩に手を置いた。

その瞬間だった。

男の手が雫の膝に触れ、彼女を自分の腕の中に引き寄せようとした。

「やめろ!」

突然の怒声が部屋に響いた。

蓮が立ち上がり、手にしていた酒杯を男の額に投げつけた。

ガシャン!

グラスが砕け散り、男の額から血が流れた。

「失せろ!今すぐに!」

蓮の声は殺気に満ちていた。男を掴み、個室から力ずくで押し出す。

ドアが乱暴に閉められ、部屋に重い沈黙が落ちた。

雫は床に膝をついたまま、呆然としていた。なぜ蓮が怒ったのか、理解できなかった。

「あなたは私のお客さんです」

雫が立ち上がり、蓮を見つめた。

「マッサージをしてあげますから、二百二十万円をください」

蓮の顔が歪んだ。

「何だと?」

「客を追い出したのはあなたです。責任を取ってください」

雫の声に、感情はなかった。ただ機械的に、取引を提案している。

蓮の拳が震えた。

その時、綾香が立ち上がった。

「面白いわね」綾香が微笑んだ。「私にマッサージをしてくれるなら、三百万円出してあげる」

雫の目が輝いた。

「本当ですか?」

「ええ。でも、私の足元に膝をついて」

雫は即座に綾香の前に膝をついた。

「ありがとうございます」

綾香がソファに座り、雫は膝をついたまま彼女の肩に手を置いた。

蓮の顔が青ざめた。雫が自分の婚約者に膝をつく姿を見て、強い不快感が胸を襲う。

マッサージが始まった。雫の手が綾香の肩を揉んでいく。

しばらくして、綾香が小さく声を上げた。

「痛い!」

雫の手が止まった。

「押しのけられたわ!」綾香が叫んだ。

雫がバランスを崩し、テーブルの角に額をぶつけた。鈍い音と共に、額から血が流れる。

綾香がスカートをまくり上げた。太ももに小さな赤い跡がある。

「見て!彼女、わざと私をつねったのよ!」

蓮の目が怒りで燃え上がった。

「性根が腐ってるな」蓮が雫を見下ろした。「嫉妬で綾香に嫌がらせか」

「違います」雫が必死に首を振った。「私は何も——」

「黙れ!」

蓮の怒声が部屋に響いた。

「金が欲しい?」蓮が冷笑した。「いいよ。俺のダーツの的になれ。一発ごとに二十万やる」


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