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5.26% 許した夫に、奈落へ落とされた / Chapter 1: 第1話:結婚三周年記念日の裏切り
許した夫に、奈落へ落とされた 許した夫に、奈落へ落とされた original

許した夫に、奈落へ落とされた

作者: 白玉 あん

© WebNovel

章節 1: 第1話:結婚三周年記念日の裏切り

第1話:結婚三周年記念日の裏切り

[氷月(ひづき)詩(うた)の視点]

今日は私たち夫婦の結婚三周年記念日。

レストランの広々とした個室に足を踏み入れた瞬間、私の心臓が止まりそうになった。

蓮(れん)が片膝をついて、暁(あかつき)刹那(せつな)に指輪を差し出している。

「刹那、僕と結婚してください」

周りにいる友人たちが手を叩いて盛り上がっている。

「やった!ついに告白した!」

「罰ゲームとはいえ、本気度が違うよね!」

「結婚してても刹那のことが好きなの、みんな知ってるんだから!」

罰ゲーム?

でも、蓮の表情は真剣そのものだった。刹那も頬を染めて、まるで本当のプロポーズを受けているかのように見える。

私の存在に気づいた友人たちが、慌てたように口を押さえた。

「あ、詩ちゃん……」

一人、また一人と、そそくさとその場を離れていく。

「蓮」

静かに声をかけると、蓮がゆっくりと振り返った。

「詩か。遅かったじゃないか」

まるで何事もなかったかのような口調。

「今のは何?」

「見ての通り、罰ゲームだよ。そんなに目くじら立てることか?」

お腹の中の赤ちゃんが三ヶ月になったばかりなのに、こんな光景を見せられるなんて。

今日は私たちの記念日なのに。

----

暁刹那が詩に近づいてきた。その顔には申し訳なさそうな表情を浮かべているが、どこか計算されたような印象を受ける。

「詩さん、ごめんなさい。でも本当にただの罰ゲームだったの。蓮くんが私のことを好きだって噂があるから、みんながからかっただけで……」

刹那の言葉は謝罪の体を取りながらも、巧妙に蓮の気持ちを強調していた。

その時、刹那が詩の前に置かれていたお茶に手を伸ばした。まるで詩がそれをはねのけたかのように見せかけて、わざと自分の方に倒れ込む。

熱いお茶が刹那の腕にかかり、彼女は小さく悲鳴を上げた。

「痛い!」

----

[氷月詩の視点]

「刹那!」

蓮が駆け寄って刹那を抱きかかえる。

私は何もしていない。ただそこに立っていただけなのに。

「詩!何をしたんだ!」

蓮の怒声が個室に響く。

「私は何も……」

「妊娠してるのにそんなことして、もしお腹の子に罰が降りたらどうするつもりだ!」

その言葉が胸に突き刺さった。

この女を慰めるために、自分の子供まで呪うなんて。

蓮は刹那を抱いたまま個室を出ていこうとする。

「待って!」

追いかけて袖を掴む。

「今日は私たちの記念日でしょう?」

階段の踊り場で蓮が振り返った。その目には冷たい怒りが宿っている。

「私は刹那さんに触れてもいない。なのにどうして……」

「まだ言い訳するのか!どけっ!」

蓮の手が私の肩を強く押した。

体勢を崩した私は、階段の縁でバランスを失う。

妊娠三ヶ月のお腹を庇おうとした瞬間、重力に引かれて階段を転げ落ちていく。

最後に見えたのは、刹那の唇に浮かんだ、ほんの一瞬の笑みだった。


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