章節 13: 第13章 民政局で婚姻登録
夕方、鈴木清加は目を覚まし、リビングに行くと、小林威がタブレットで軍事ゲームをしているのを見かけた。
彼に話しかけようと思ったが、彼が真剣にゲームをしているのを見て、部屋に戻ろうとした。
ところが小林が振り向いて彼女に気づくと、すぐにゲームを一時停止した。
「清加、何か用事？」と小林が尋ねた。
清加は彼がゲームを止めたのを見て、少し驚いた。
男性はゲーム中に邪魔されるのを嫌うものだ。以前、斉藤安由と付き合っていた時、彼はゲームをしている時は邪魔しないでほしいと約束させたことがあった。
小林がすぐにゲームを止めるとは思わなかった。
彼女はためらいながら言った。「小林さん、前に結婚には職場の承認が必要だと言っていましたよね。それで...手続きは済んだんですか？」
小林はすぐに笑顔を見せた。「タイミングがいいね。ちょうど通知を受け取ったところだよ。承認が下りたから、明日にでも役所に行って婚姻届を出せるよ」
「そんなに早く？」
「うん、うちの職場は効率がいいんだ」と小林は言った。
清加は口を開いたまま言葉に詰まった。
愛情もないのに結婚するのが正しいのかどうか、彼女にはわからなかった。
でも考え直してみれば、彼女は本当に小林を愛しているのだろうか？彼が良い人で、自分を守ってくれると思ったから結婚を決めたのではないか。
……
翌日、清加は戸籍謄本と身分証明書を持って、小林と一緒に役所へ向かった。
小林は軍人証を持っていて、本来なら優先されるはずだったが、彼はその権利を使わなかった。
彼も彼女と同じく、シンプルな白いシャツを着ていた。
列に並んで待っている間、清加は前にいるカップルたちを見た。どのカップルも幸せそうで、写真を撮るだけなのに、お揃いの服を着て、女性は頭にベールをつけていた。
清加と小林と比べると、彼らはこれ以上なくシンプルだった。
清加は小林を見た。彼は背筋をピンと伸ばして座っており、まるで結婚しに来たのではなく、会議に出席しに来たかのようだった。
その瞬間、彼女は少し後悔した。
しかし、ここまで来て、すでに彼の家に住んでいるのだから、今さら気が変わったとは言えない。
手続きに従って進み、すぐに彼らも証明書を受け取った。
役所を出るとき、清加は心の中が複雑で、言葉にできない気持ちだった。
前のカップルたちは登録を終えると、外で嬉しそうに記念写真を撮り、友達に報告していた。彼女と小林だけが、全身から「よそよそしさ」を漂わせていた。
小林が大股で彼女に追いついた。「清加、これから仕事に行くの？」
清加は答えた。「もちろん、主任には1時間だけ休みをもらったから」
小林は腕時計を見て時間を確認した。「じゃあ、夜に一緒に食事でもどう？」
清加はあまり気が進まず、淡々と言った。「夜にまた考えましょう」
小林は不思議そうに清加を見た。
女性は気まぐれだと言うが、本当だ。結婚前と結婚後では全く違う。それもまだ結婚したばかりなのに！
小林が感慨に浸っていると、清加が突然彼に質問した。「小林さん、私たちの結婚のこと、ご両親は知っているんですか？まだ...あなたの両親に会っていませんよね。結婚という大事なこと、彼らは同意しているんですか？」
小林はちょっと間を置いて、続けた。「うちの家庭の事情は、少し複雑なんだ。でも心配しないで、彼らはきっと君を受け入れるよ。結局、結婚は僕自身の問題だから」
彼は両親に知らせる必要はないと思っているようだった。
清加は苦笑いして言った。「大丈夫です。私も両親に知らせる必要はないと思います。結婚は私たち二人の問題ですから。だから、私たちのことはしばらく公表しない方がいいと思います。どう思いますか？」
意外にも、小林はすぐに同意した。「その通りだね。僕もそう思っていた。公表することは、ゆっくり進めるべきだ」
清加は彼に構わず、道端でタクシーを拾って去ってしまった。
その場に立ち尽くした小林は少し呆然としていた。
彼女は怒っているようだ。
自分は何か言い間違えたのか、それとも何か間違ったことをしたのだろうか？
……
清加が病院に着くと、山本主任に叱られた。
「鈴木清加、普段は早く来るのに、今日はどうして遅刻したんだ？電話一本もよこさないで？」
清加は不満だった。「主任、グループチャットで休暇を申請しましたよ」
「申請した？」山本主任は科の作業グループを確認し、少し恥ずかしそうにしたが、すぐに顔を引き締めた。「休暇の申請をグループチャットでするものか？プライベートメッセージか電話をするべきだろう？」
清加は少し悔しかった。「でも他の医師たちも用事があるときはまずグループで言っていますし、私は昨日の夜に言いましたよ」
「言い訳はやめなさい。申請していないものは申請していない。今日は遅刻一回として、半日分の皆勤手当を差し引く」山本主任はリーダーとしての威厳を示し、その権威は侵すべからずという態度だった。
清加は黙るしかなかった。
今日は診察ではなく、針刀手術室に行く日だった。患者が多く、山田さんが中で忙しくしていた。山田さんは清加が来るのを見て、ほっとした様子で言った。「清加、やっと来たのね」
「ごめんなさい、山田さん。今日はちょっと用事があって」
「大丈夫よ、早く始めましょう。患者さんたちがもう待ちくたびれているわ」
……
昼になって、清加はようやく一息つけた。
彼女が治療室を出ると、同じく診察室から出てきた木村萍に会った。
「鈴木医師、今朝は遅刻したんですね？」と木村は得意げに尋ねた。
清加は一瞬止まって言った。「あなたの情報網は本当に優秀ですね！」
「彼氏が車を持っていないから、朝は電動バイクで通勤しているんですか？彼氏って見た目はいいのに、車も持っていないなんて。彼女に電動バイクで通勤させるなんて。女性は車も家もないと、どこに安心感を持てばいいのかしら？」
清加は冷ややかに笑った。
彼女は今、グループメッセージを見ていた。昨晩、休暇申請を送った後、木村がいくつもの面白い動画を投稿していた。その動画があまりにも面白かったのか、何人かの医師が議論に参加し、彼女のメッセージは流されてしまった。
木村がわざとやったとは言い切れない。
清加は笑って言った。「木村医師、私の彼氏は家を持っていますよ。それも200平米以上の大きなマンションで、ローンもありません。あなたと彼氏は今、住宅ローンと車のローンを返済中でしょう？家もそんなに大きくなくて、60〜70平米くらいだと聞きましたが。プレッシャーで言えば、あなたたちの方が大きいはずです。何を自慢しているのかわかりませんね」
木村は顔を赤らめ、目を転がして言った。「嘘をつくのは誰でもできますよ。とにかく、今のところあなたには車がないんでしょ」
「自分の生活に集中したら？他人のことをそんなに気にしなくても」
……
食堂で。
清加は食事をしながらSNSを見ていた。
仕事のグループチャットには仕事関連の通知や、医師たちの休暇申請が表示される。
山本主任はそれらを見て返信するが、彼女の昨日の投稿だけには返信していなかった。
今日、半日分の皆勤手当を差し引かれたことを思い出し、彼女は少し落ち込んだ。ソフトウェアを閉じようとしたとき、小林から一通のメッセージが届いた：
【清加、考えてみたんだけど、家に車がないと不便だから、車を買おうと思うんだ。どう思う？】
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