転生したら小説世界で三歳半、超溺愛された！
作者: グリーンナインシェン© WebNovel
章節 1: パパと呼ぶ
編輯: Pactera-novel
H市。
城駅――
普段は人でごった返す改札口が、今日は整然と両側に仕切られていた。
最新型のロールスロイスが改札口の停車場に停まっていた。
黒いスーツを着てサングラスをかけた男が二人、車の両側に立ち、周囲を警戒しながら、近寄るなというオーラを放っていた。
そして真ん中に立つ男、背筋を伸ばして改札口に立ち、時折腕時計を確認していた。
「誰の送迎チームだろう？大げさだな！」
「新しい駅ができてから、この旧駅は田舎しか通じてないのに、大物がこんなボロ列車に乗るのか？」
「あの車、テレビに出てくるロールスロイスじゃない？何億円もするんだぞ！」
皆が横で口々に議論していたが、両側に立って眺めるだけの勇気しかなかった。
時間が過ぎ、列車が到着し、大勢の人が改札口から溢れ出てきた。
改札を出る人々は目の前の様子に呆気にとられ、小走りで両側へと散っていった。
乗客はほぼ全員が立ち去り、もう誰もいない頃だった。
そのとき、長い上着を着た男が、三、四歳のまるまる太った子供を連れて出てきた。
スーツ姿の男の目が鋭くなり、すぐに速足で近づいた。
「彼女が手紙に書かれていた子供か？」
小さな子は一瞬驚いたが、目の前の男を見て、パッと花が咲くように笑った。
よちよち歩いて男に駆け寄り、眼前の人の足に抱きつき、甘ったるい声で言った。
「パパ！」
小さな子は顔を上げ、きれいな小さな顔には、ふっくらとして愛らしさに満ちていた。
見ている人の心を喜びでいっぱいにした。
男は胸がじんわりしたが、すぐに我に返り、しゃがんで小さな子を引き離した。
「いやいや、お嬢様、私はあなたのパパではありません！」
小さな子はまばたきし、首をかしげて男の後ろを見た。
ロールスロイスのドアが開き、車からすらりとした長い脚が踏み出した。
長く引き締まった脚、完璧なウエストライン、がっしりした肩！
これこそが彼女の本当の父親だ！
美穂（ミホ）は心の中で感慨深く思った。この父親、認める価値ありだ！
三年前、彼女は任務遂行中に流れ弾に当たり、命を落としたと思っていたが、まさか自分が半分しか読んでいなかった小説の中に転生するとは。しかも、その小説の中の悪役大物の生まれたばかりの赤ちゃんの体に宿っていた。
元の体の母親は妊娠を隠して田舎に逃げ、美穂を産んだ後で病気になり、一週間前に亡くなった。彼女は死の間際に、赤ちゃんの実の父親に手紙を書いた。
だから今日の親子対面となったのだ。
本来、美穂はこの悪役の都合のいい父親を認めるべきか迷っていたが、今日見て、これは割に合うと思った。
「パパ！」
美穂はすぐに短い足を一生懸命動かし、よろよろと葉山猛（ハヤマ・タケル）に向かって走っていった。
これは父親呼ばわりしているんじゃない、大金持ち呼ばわりしているんだ！
その太い脚に手を伸ばそうとした瞬間、突然後ろから襟首をつかまれ、持ち上げられた。
「お前があの女の娘か？」
低く響く、魅力的な声が聞こえた。
美穂は顔を上げ、細長い目と向き合った。
あらまあ！
なるほど、この子が三歳でこんなに可愛いのは、遺伝子が良いからだね！
目の前のおじさんは、道理では四十歳のはずなのに、その顔はくっきりとした輪郭で、とてもハンサムだ！
「パパ〜私、美穂って言うの、三歳なの！」
小さな美穂はまた甘ったるい笑顔を見せ、小さな手足をバタバタさせながら抱きつこうとした。
葉山猛の目にかすかな嫌悪が走った。本当に間抜けだ。
四年前、あの深田家の小僧に騙されさえしなければ！
葉山猛は美穂を下ろし、振り返って車内に座った。
「病院へ行け、親子鑑定だ。」
夏目渉（ナツメ・ワタル）はすぐに前に出て、美穂を後部座席に抱き上げた。
「葉山社長、子供は小さすぎるので、直接後部座席に座らせるのは無理です。」
葉山猛は夏目渉を見て、二秒ほど考えた。
「じゃあ、お前が抱いていろ。」
しかし美穂は突然葉山の胸に飛び込み、小さな両手で葉山の首にしがみつき、甘えた声で言った。
「パパに抱っこしてほしいの」
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