目を開けた瞬間、あまりに近い距離で大きく映る男性の顔。濃く黒い眉、深く静かな瞳、高く通った鼻筋に薄い唇。完璧すぎる逞しい輪郭を描いている。
白石昭宏!
自爆する前に一番会いたかった顔だ。
もしかして天が彼女を哀れんで、最期の願いを叶えるため、長い間瘫痪状態で目も見えなかった彼女に、もう一度彼を見る機会をくれたのだろうか?
彼女は瞬きすらせず、思い切り彼を見つめた!
白石昭宏は彼女の睨みつける視線に触れ、自分が強引に彼女の身体を奪ったことを彼女が憎んでいると理解し、表情が一瞬で曇った。
彼女はまるで彼の冷たい視線に気づかないかのように、依然として彼を睨みつけていた!
一生懸命に見つめる。一瞬たりとも見逃すまいと。
くそ、こんなに長い間目が見えなかったんだ。たとえ夢の中でも、あるいは自分が死んだ後の魂の夢でも、見納めにしっかり見ておくべきだ。
白石昭宏は手を伸ばして彼女の顎を掴み、冷たい声で言った。「どうした?俺を殺したいほど恨んでるのか?」
顎から伝わる痛みで、彼女の頭は瞬時に冴えた。
死んでも痛みを感じるのだろうか?
死ぬ前は確かに彼の遺体の上で爆発したはずなのに、なぜ今は彼が彼女の上に覆いかぶさっているのか。それに彼はまるで生きているようだ。
生きている!
彼はベッドから体を起こし、端に立ち、彼女に背を向けた。
椅子に置かれた服を手に取り、素早く無駄のない動きで身につけていく。
十秒もしないうちに、振り返った時には既にスーツをきっちり着こなし、表情は冷ややかだった。
部屋全体が彼の纏う冷たい気迫によって温度が数度下がったかのようだった。
彼女に向けられた彼の視線には冷たい炎が宿っていた。「罪悪感なんて抱くと思うなよ。これはお前の自業自得だ!」
聞き覚えのある言葉!
彼の冷たい視線に、彼女は我に返った。
彼女は室内を見渡した。ここは病室だ。床にはずたずたに引き裂かれた病衣がゴミのように捨てられていた。
窓際の椅子、薄灰色のカーテン、彼女が横たわるベッド……
左側の壁の隅のかすかに見える亀裂まで、十年前に病院で彼に身体を奪われた時と全く同じだった!
もしかして十年前にタイムスリップしたのか?
体の痛みが彼女に告げていた。本当に生まれ変わったのだと!
神よ、彼はまだ死んでいない、自分も生きている、本当に良かった!
しかも今はまだ、彼女は瘫痪していないし、目も見えている。
興奮の涙が彼女の目を曇らせた。
白石昭宏は彼女の涙を見て、その視線は万年の霜のように冷たく、まるで彼女を千切りにしたいかのようだった。「何を泣いている!言っただろう、お前は俺の女だ。俺を裏切るなら、その代償を払う覚悟をしておけと!」
片山千尋は前世のこの時のことを思い出した。彼女は愛する男性・白石輝と駆け落ちしたが、途中で交通事故に遭い、輝は「重傷」を負って病院に搬送され、彼女も手首を怪我した。
彼女の要望で、医師は彼女と輝を同じ病室に入れ、一人一つのベッドで、二つのベッドの間にはカーテン一枚だけが仕切りになっていた。
そして……
白石昭宏が病室で彼女の清らかさを奪ったのだ!