章節 12: 第12章 すべてのロマンスを保存したい（1）
昨晩の象牙テレビはとても賑わっていた。
特にチャンネル566275。
翌日になっても、西村志乃という名前はトレンド入りしていた。
復帰宣伝の広告は見事なものだった。
ところが、最後になってプラットフォームは人を変えることにした。
数十万のリスナーを裏切る形となった。
何？西村志乃の体調が悪く、一時的に来られない？最近人気が出ている別のパーソナリティに変わる？
本人は何も言っていないのに。
公式発表が出てしまった。
リスナーたちはこれを認めなかった。
西村志乃が海外で働き始めてから、ラジオは放送停止となっていた。
半年も待って、こんな結果なのか？
夜中に志乃のSNSには大量の批判コメントが殺到した。
彼女に失望し、ファンを裏切ったと言われた。
午前1時半、詩織はオンラインになり、チャンネル全体を完全に閉鎖した。
これは三浦直也が象牙テレビを設立した当時、彼女に与えた特権だった。
そこでようやくファンたちは何かが起きていることに気づき始めた。
古参ファンは皆、このチャンネルが志乃にとってどんな意味を持つのか知っていた。ずっと前の生放送で、あるリスナーが566275に何か意味があるのかと尋ねたことがあった。当時の詩織はたった数百人のリスナーしかいないラジオパーソナリティだった。毎日決まった時間にオンラインになり、少数のリスナーと話し、時には日常の些細なことを語ることもあった。
夜更かしをしている人たちのために。
彼女は彼らのセラピストになることを望んでいた。
「あるわ、もちろん意味があるの。でも今はまだ言えないわ。生きているうちに皆に話す機会があるかどうかもわからない。でも今言えることは、この数字は私にとってとても大切だってこと。もしいつか私がこれを守れなくなったら、私はこれと一緒に去るわ」
その言葉は現実となった。
まさかこういう結末になるとは。
三浦直也は飛行機から降りるとすぐに松田詩織に電話をかけた。「プラットフォームの件は解決して、きちんと説明するから、詩織、会おうよ！」三浦は最近地方に行っていて、今日やっと帝都に戻ってきたところで、この件を聞いて彼女に電話をしたのだ。
松田詩織は猫の寝床の前にしゃがみ込み、ミルと戯れていた。
電話の向こうの説明を聞きながら。
「いいのよ、先輩。契約解除は一時の思いつきじゃないわ。ずっと前から考えていたことよ。今や象牙プラットフォームもこれだけ発展したんだから、私はもう必要ないでしょう」
この言葉を聞いて、三浦は一度壊れたものはもう取り戻せないことを悟った。
「せめて私の顔を立てるためにも、ダメかな？」ほとんど懇願するような声。
ミルが彼女の手のひらでひっくり返り、詩織は微笑んだ。
少し残念そうな口調で。「先輩、この2年間、私は十分な顔を立てたわ。新人を指導しろと言われれば指導し、無理な要求をしたことはなかった。でも戻ってきたら、チャンネル番号まで他人に使わせるなんて、それが私にとってどういう意味か、わかる？」
……
どういう意味か、彼はもちろん知っていた。
「まずは会って話そう。後で会いに行くから、そのあとで死刑宣告してくれてもいい」
詩織は立ち上がり、窓の外を見た。
そして携帯に一つのメッセージを打ち込んだ。
送信ボタンを押す。
【これすら守れないなら、私に何で彼を守れるというの】
静まり返った会議室内、厳粛な雰囲気が漂っていた。
高木彰のテーブルに置かれた携帯電話が突然振動し、瞬時に部屋中の人々が主席の彼を見つめた。
誰が命知らずで魔王の逆鱗に触れたのか。
皆が息を殺す中、社長は表情を引き締め、指を軽く動かし、穏やかに携帯のロックを解除した。
画面の文字を見た瞬間、
小さく笑い、春風のような優しさを感じさせる微笑みを浮かべた。
会議室中の幹部たちを驚かせた。
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