トヨタ車には多くの物資があり、私たちの差し迫った問題を解決してくれました。
私たちは旅を続けました。
道中、当然ながら数え切れないほどの悲惨な光景を目にしました。
その中には、乱射されて殺され、荒野に遺棄された佐藤拓海の姿もありました!
彼は強盗に遭い、車もお金も食料も全て奪われたようです。
夫婦の縁を思い、沙良は拓海をどこかに埋葬することを提案しました。
しかし母娘は、この男のために一滴の涙も流しませんでした。
おそらく彼が妻と娘を捨てた瞬間から、母娘の心の中では彼はすでに死んでいたのでしょう。
夜、破壊された小さな町で休んでいるとき、思いがけず知り合いに出会いました!
沙良の弟のデキン!
私は以前デキンに何度か会ったことがあります。彼はギャンブル中毒者でした。
賭け事で負けると、沙良のところにお金を求めに来ていました。
沙良もこの弟に対してはとても困り果てていました。
しかし戦火の中で親族に出会うのは、やはり嬉しいことです。
沙良はデキンに私たちと一緒にポーランドへ逃げることを誘いました。
しかしデキンは断りました!
彼には秘密のルートでドイツに直接逃げる友人がいるからだと言います!
ポーランドよりずっと良いと!
そしてより安全だと!
沙良母娘は心を動かされ、デキンについてドイツへ行こうとしました。
実の弟なので、彼女たちを害するはずがないでしょう?
デキンは母娘に対しては優しい態度でしたが、私を見ると顔を曇らせました。「お前たちは俺について来ていいが、この黄色い肌の小僧はダメだ!」
「亮が行かないなら、私も行かない!」
奈津紗はすぐに抗議しました。
「奈津紗、言うことを聞きなさい!おじさんについて行くのよ!」沙良は奈津紗を叱るように見ました。
そしてデキンに言いました。「あなたは奈津紗を連れて行って。私は亮とポーランドへ行くわ。彼を一人でこんな遠い旅をさせるのは心配だから。」
沙良母娘の言葉を聞いて、私の心はとても感動しました。
母娘ともにこれほどの恩義を。
私にはそんな資格があるのでしょうか!
奈津紗は沙良の言葉を聞いて、宝石のような大きな瞳から涙があふれ出しました!
「ママ、あなたって本当に自分勝手!亮を独り占めしたいだけでしょ!」