Chapter 3: 二発で命を落とした（3）
Editor: Pactera-novel
ドンという鈍い音がして、隅の敵が倒れた。美咲も無事に角までころがり込み、最後の弾を撃ち尽くした銃を投げ捨て、一発で命を奪った不運な男の銃を拾おうとした。しかしその時、頭に冷たく硬い物が当てられたのを感じ、彼女は身体が震えて凍りついた。
「動くな。さもないと頭を吹き飛ばすぞ」荒々しい男の声と共に、倉庫内の照明が一瞬ですべて点灯した。
美咲は目の前に立つ人物をはっきりと見ることができた。それは声と同じく荒々しく大柄な男だ。
美咲の容姿を見て、その男は少し驚いた様子で口笛を吹き、軽薄な調子で言った。「まさか女だとはな。みんな出てこい、見てみろ。今どき警察は何をしてる？女を寄こすなんてな」
「美咲さん……」竜也は隅に隠れながら美咲が捕まったのを見て、顔色を変えた。助けに行こうとしたが、弾丸がまた尽きてしまったことに気づいた。憤然と銃を地面に投げ、歯ぎしりして目が赤くなるほど焦っていた。
美咲は頭に黒々とした銃口を突きつけられながら、柱の後ろから次々と現れる男たちを冷静に観察し、目を細めて何かを企んでいるように見えた。
「寅雄さん、この女、けっこういい顔してるじゃないか。俺たちで今夜……へへへ……」数人の男たちが近づいて美咲の顔をはっきり見ると、口笛を吹き、目に淫らな色を宿して、手を伸ばして美咲の顔に触れようとした。
その瞬間、また数発の銃声が響いた。美咲に手を伸ばそうとした男は頭を撃ち抜かれ、他の仲間たちもほぼ同時に同じ目に遭った。一瞬のうちに状況が逆転した。
美咲に銃を突きつけていた男はその様子に驚き、頭を上げて発砲した人物を探そうとした。美咲はまさにこの瞬間を待っていた。
男が銃声に気を取られた一瞬を捉え、美咲は右肘を後ろに曲げて男の銃を弾き飛ばした。そして見事な回転をしながら、素早く正確に強烈な一蹴りを男の胸に見舞い、彼をその場に倒した。空中に舞い上がった銃は計算したように正確に美咲の手に落ちてきた。
美咲は手首をひねり、さっきまで自分の頭に突きつけられていた銃口を、今度は元の持ち主の額に向けた。男が暴れて立ち上がろうとする動きを制した。
そのとき、倉庫の大きな扉が外から激しく開かれ、援軍が整然と突入してきた。
その一団を見て、美咲は口角を引き上げ、自分に制圧された男を冷ややかに見下ろして嘲笑った。「女がどうした？今はお前が女の手にかかって倒れてるじゃないか。女を甘く見るなんて絶対にやめた方がいい。連れて行け！」
突入してきた援軍は美咲の言葉を聞くと一斉に前に出て、その男を引きずって外へ連れ出した。
美咲はその様子を見て少し息をついた。銃を下ろすと、背後から安堵の声が聞こえてきた。「美咲さん！」
振り返ると、竜也が喜びの表情で自分に向かって駆けてくるのが見えた。美咲は口元を少し上げ、迎えようとした瞬間、背後から銃声が響き、胸に激痛が走った。
呆然と下を向き、胸から絶え間なく流れ出る鮮血を見た。美咲の頭の中が一瞬真っ白になった。耳に届くのは竜也と他の同僚たちの驚きの叫び声だったが、体は制御できずに後ろに倒れていった。
完全な闇に落ちる直前、美咲の脳裏にはかすかな思いが過ぎった。「背後からの一発、そして二時の方向からもう一発！くそっ、美咲は何年も最前線で戦ってきたのに、結局密輸業者のボスたちの手にではなく、自分の仲間の手に倒れるなんて、はは！」
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