私は困惑した表情を浮かべながら、柳田雪乃の方を見た。
「私、私はどうしたの?」
柳田雪乃は信じられない様子で私を見つめた。
「忘れたの?」
私は頷いた。もちろん、彼らが何をしようとしているのかは分かっていた。
以前は愚かにも罠にはまってしまったが、今では全てが分かっている。
この時点で、私はすでに廃太子と感情的な繋がりができていた。
今日の落水は、私が意図的に仕組んだものだった。
今日の花見宴の主催者である兵部尚書の娘、長谷川静香を陥れるためだった。
兵部尚書は現在の三皇子、つまり主人公の味方で、長谷川静香は未来の第三皇妃となるはずの人物だ。
前世では、私の陥れ計画が成功し、長谷川静香は結婚する前に嫉妬深いという評判を立てられ、尼となった。
兵部尚書と三皇子の間にも溝ができた。
そして三皇子は強力な後ろ盾を失い、原作のような順調な道を歩むことはできなくなった。
私は思考を整理し、目に不確かな色を浮かべた。
「誰かに川に突き落とされたような気がする。」
柳田雪乃は強く頷いた。
「そうよ、長谷川静香があなたを突き落としたの。三皇子があなたと少し話しただけで嫉妬したのよ。」
「まさか、名家の嫡女がこんなに意地悪だなんて!」
私は笑った。皮肉な笑みを浮かべて。
意地悪な人間が、無実の人を意地悪だと言うなんて、何という皮肉だろう。
そう話している時、外から誰かが小走りで入ってきた。
「雪乃ちゃん——」
廃太子の藤原修は私が目覚めているのを見て、表情を微かに変えた。
すぐに私のベッドの側に来て、私の手を握り、心配そうな表情を見せた。
「和子、やっと目が覚めたか。」
「もうやめよう。こんな恐ろしい思いをさせたくない。」
「母上の仇討ちもやめにしよう。前世のことは過去のことにしよう!」
私は心の中で苦笑した。
前世の私は、どれほど恋に盲目だったのだろう。こんな愚か者に何年も騙されていたなんて!
彼は傲慢にも、もう演技すらしなくなっていた。
私の目の前で、柳田雪乃と目配せし合っている。
そして、こんな明らかな一歩引いて二歩進む戦術の言葉を吐いて、野心を露わにしている!
「だめよ、私はあなたを助けると約束したわ。」
私は藤原修を愛情たっぷりの眼差しで見つめ、その情愛が溢れ出そうなほどだった。